内容説明
二〇世紀後半の哲学を牽引した思想家ジル・ドゥルーズ(一九二五‐九五年)。哲学史的な著作から出発し、『差異と反復』と『意味の論理学』を経て、ガタリとの共著『アンチ・オイディプス』と『千のプラトー』に到達した哲学者は、大著『シネマ』へと向かっていく―生涯をたどりつつ主要著作を読み解いていく定評ある書に加筆・訂正を施した決定版。
目次
プロローグ―異人としてのドゥルーズ
第1章 ある哲学の始まり―『差異と反復』以前
第2章 世紀はドゥルーズ的なものへ―『差異と反復』の誕生
第3章 欲望の哲学―『アンチ・オイディプス』の世界
第4章 微粒子の哲学―『千のプラトー』を読み解く
第5章 映画としての世界―イマージュの記号論
第6章 哲学の完成
エピローグ―喜びの哲学
著者等紹介
宇野邦一[ウノクニイチ]
1948年、島根県生まれ。パリ第8大学哲学博士。立教大学名誉教授。専門は、フランス文学・思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
28
ドゥルーズ本というよりも、著者の文章が読み易いのはなぜだろうということばかりが気になりました。平易なだけでなく、論旨を見失っても途中から入っていける、いつの間にかページが進んでしまう魔力があります。随所に登場する定義が骨格をつくり、骨格を辿ることで全体がみえてくる。「関係の中で触発される思考(ヒューム)、運動と時間の中にある生(ベルクソン)、あえず流動し、触発し触発される身体とともにある思考(スピノザ)、力のさまざまな質と量によって構成される世界(ニーチェ)」キャッチーさも読み易さの源泉になっています。2020/11/05
ほし
13
数々の新たな概念に、抽象と具体を駆け抜ける思考。それらに満ち溢れたドゥルーズの哲学はとにかく難解だと言われますが、この本を読むことでその輪郭に確かに触れることが出来た感触がありました。時間と生成に目を向け、潜在性、強度の視点から差異や欲望を捉えたドゥルーズ。それは言葉によって言葉の外を思考するかのようで、本を読みながら自らの主体性が大きく揺さぶられるような感覚でした。エビデンスに基づきロジカルに思考し…という態度が当たり前のものとなった現代、ドゥルーズの哲学に触れることは大きな意味があるように思います。2021/12/25
ほ🌟 ̖́-
3
明快さ故に、わかった気になるが身になっていないという不安も残る読後感。考え方のリズムとスタンスは受け取れたと信じて次の本に進もう。 本書とはもう関係ないが実践としての意味で本の難しさや読みにくさの大切さに気づけた。この気づきを糧に原著に挑戦したい。2024/09/12
八八
3
ドゥールズは現代思想、哲学の旗手であり特に『アンチ・オイディプス』や『千のプラトー』などが有名である。ドゥールズの著作は独自の表現や用語などが用いられ難解である。本著はドゥールズの思想形成を追いながら解きほぐしていく。ニーチェやカント、スピノザなどの哲学やプルーストの『失われた時を求めて』などを基礎にしながら枠を飛び越え豊かな思索に支えられた姿を描写する。このようにドゥールズの思想を分かりやすく解説するのではなく、思想形成や著作の枠組みの一端を示すことによってドゥールズへの入り口を示す。2020/03/06
Terry K
2
書いていることはほとんどわからなかったけれど、とりあえず一回通読できたのは収穫?読書百遍、というから再読してみたらもう少しわかるようになるか。それにしても、解説本でこれなんだから、元の本はどんだけ難しいんだろう。2023/03/19