内容説明
全三十一巻からなる巨大説話集から、震旦(中国)を舞台にした霊験談、因果応報譚、そして世俗の奇譚などを集めた巻六から巻十までを収録。玄奘三蔵や善財童子らの仏教説話のみならず、孔子や老荘から始皇帝、則天武后、楊貴妃まで中国史を彩る大物の、虚実ないまぜの豊かな人間像と伝説を描く。学術文庫既刊『今昔物語集』より現代語訳を再編集。
目次
巻6(震旦の秦の始皇の時、天竺の僧渡れる語、第一;震旦の後漢の明帝の時、仏法渡れる語、第二 ほか)
巻7(唐の玄宗、初めて大般若経を供養する語、第一;唐の高宗の代、書生大般若経を書写する語、第二 ほか)
巻8(欠巻)について
巻9(震旦の郭巨、老母に孝りて黄金の釜を得る語、第一;震旦の孟宗、老母に孝りて冬に笋を得る語、第二 ほか)
巻10(秦の始皇、感楊宮に在りて世を政つ語、第一;漢の高祖、未だ帝王に在まさざりし時の語、第二 ほか)
著者等紹介
国東文麿[クニサキフミマロ]
1916‐2012。旧制早稲田大学文学部卒業。専門は日本文学。早稲田大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
49
霊体験、因果応報譚、世俗奇譚などを集めています。仏教話のみならず中国史を彩った要素も多く、興味深く読むことができました。2024/01/27
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
6
天竺(インド)篇に続き震旦(中国)篇。「巻六・七 震旦付仏法」「巻九 震旦付孝養」「巻十 震旦付国史」という見出し。率直に言って前半は退屈。仏教説話も孝行譚も「清く正しく美しい」話ばかりだった。しかし徐々に世俗説話や中国の歴史的著名人が現れてきて面白くなっていった。他の漢籍や説話集とのダブりもありつつツッコミ所が増えてくると読書が進む。やっぱり人の気を引くのはゴシップか。興味深かったのは仏教導入時の道教との対立だったけど、そもそも時代考証が大分いい加減なのであくまで”お話”だった。→続く2021/09/23
眉毛ごもら
1
震旦=中国である。前半は仏教の伝来と偉い僧の話。だいたいパターンがある。死んで閻魔様の前に引き出されて戻ってくる話とかかぶりまくっているぞ。天丼だぞ!鬼灯の地獄はここなのか別なのか考えながら読んでた。後半は道教儒教などの話も混じってくる。知ってる話も増えてくるし、これ昔話で見たな?とかいうのもあるし、元ネタだったりしてなど考えながら読むと楽しかったぞ。今昔物語集4冊ぶっ続けで読むのはなかなかしんどかった。今は開放感に溢れている。こんつめてよまなければ多分楽しかった。本朝の仏教説話版の出版お願いしまーす。2020/05/05