出版社内容情報
私が初めてゴーストと出会ったのは昭和40年10月15日の深夜、心臓発作で入院した日のことだった。ゴーストはベッドに横たわる私に「吐息の交換」とやらを迫り、防毒マスクを着けさせた。そして、「最高塔に登り黄金の酒を飲んで、詩人としての至福のヴィジョンを手に入れる」ことを強いてきた。目覚めるとゴーストは消え、私は満洲の避難列車の中にいた。まるでタイムトラベルのように、少年時代の追体験が始まっていた……。
内容説明
昭和四十年、心臓発作で入院した日に私はゴーストと出会った。彼女はベッドに横たわる私に「吐息の交換」を迫り、「最高塔」に登りつめることを強いてきた。目覚めると、私は満洲の避難列車の中にいた。まるでタイムトラベルのように、少年時代の追体験が始まり…。なかにし礼、人生と音楽の集大成小説!
著者等紹介
なかにし礼[ナカニシレイ]
1938年、中国黒龍江省(旧満洲)牡丹江市生まれ。立教大学文学部仏文科卒。在学中からシャンソンの訳詩を手掛け、1964年に菅原洋一に提供した「知りたくないの」のヒットを機に作詩家として活動を開始。数々の名曲を世に出し、日本レコード大賞ほか多くの音楽賞を受賞する。作家としても2000年に『長崎ぶらぶら節』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shi-
13
昔読んだ、「赤い月」がとても印象に残っていて、思わず手に取った本。 あの時の衝撃と過酷な毎日を送られていた様子を思い出し、また赤い月を読んだ時と自身の生活も変わり、思うところの変化を感じながら読んだ。 親になった今、あの時代、あの場所で娘たちを無事に育てられる力が今の私にあるだろうか?いや、私には無理だ、と。 赤い月とは違いなかにしさんの作詞された詞もあり、残念ながらしっている歌は少なかったが、この本を読んで聞いてみたい、と思う。2020/02/17
秋良
12
なかにし礼の才能の影にはゴーストと呼ばれる精霊のような存在がいて、彼女と自身の人生を省みていく私小説めいたストーリー。ゴーストの口調が俗っぽいというか「〜だわね」とかオバさんくさくて、更にシュールな濡れ場があって、ちょっと置いてけぼりを食らう。凄惨な満州からの引き揚げとのギャップがすごすぎる。下巻がどう着地するのか予想もつかないけど、読むか迷うなあ……2024/12/13
千本通り
1
「穿破(せんぱ)」の恐怖の中、書くことで生きがいを感じる著者には死神ではなく女性の「ゴースト」を必要とした。満州時代を当時7才の著者の眼でもう一度描き直している。黛ジュンの「恋のハレルヤ」がその満州を歌った歌詞だったとは知らなかった。2020/04/26
ナオ
0
昭和歌謡の詩が強烈な理由が少し分かった。2020/07/01
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- 和書
- 竹の秋