出版社内容情報
林 真理子[ハヤシ マリコ]
著・文・その他
内容説明
着物黄金時代の京都、帯の意匠で一時代を築いたうちの父は、ほんまに立派な人やった。戦中は東条英機はんの私設秘書として飛び回り、戦後の活況で稼いだ財産は、祇園や道楽できれいに使う。あんなに辛い目に遭っても生きてこれたんは、みんな父のお陰や。濃厚な家族の歴史を、きらびやかに描き切る会心作!
著者等紹介
林真理子[ハヤシマリコ]
1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部卒。’82年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーに。’86年『最終便に間に合えば/京都まで』で第94回直木賞を受賞。’95年『白蓮れんれん』で第8回柴田錬三郎賞、’98年『みんなの秘密』で第32回吉川英治文学賞、『アスクレピオスの愛人』で、第20回島清恋愛文学賞を受賞。小説のみならず、週刊文春やan・anの長期連載エッセイでも変わらぬ人気を誇っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こうちゃん
11
なんとも・・・育ち・家柄・環境が違う者が一緒になると、こうも齟齬が生まれるのかと。帯の世界も勉強になりました。合わせかたや、背景がここまで深いとは思ってなかった。2020/07/28
YH
3
なんか白洲さんみたい。元々、京都の織物や着物の世界は浮世離れしているイメージだし、こういう世界もあるんだなぁと思った。ただ、同じ話が何回も出るのはくどく感じた。2021/07/12
rinrinkimkim
3
本書は寂聴先生に来た話とか。大原御幸は建礼門院と後白河の物語。平家物語のスピンオフ的位置ですが、祥子と新垣、登場人物すべてが「奢れる者久しからず」なんですよね。終わった栄誉栄華にしがみつきあの頃はよかったって。現実見ようよ!と肩をたたきたくなりました。松谷鏡水も成り上がりのゲス不倫野郎でしょう。おまけに軍まで出てきちゃって。本書はあと10年もしたら巻頭に「差別的表現が含まれますが・・」って文章が付くんじゃないでしょうか。やはり林さんはエッセイに限りますね。読むたびにそう思うのにまた読んでしまう。不思議。2020/03/06
Ayako Moroi
3
東條英機の私設秘書を務め、帯の図案家として天才的であった人物の人生を、溺愛されて育った娘と、その娘の元夫の語りで描く。実在の人物への取材をもとにしており、実名で登場する有名人(中には存命の方も)も多い。語りが行きつ戻りつするのは、連載作品という発表形態ゆえか。あとがきも解説も一切ないが、ネット記事で目にしたインタビューによれば、もともとは瀬戸内寂聴氏にきた話が、作者に譲られたものだという。父親を神のようにあがめる娘の視点で終わらず、娘の元夫の視点でそれを相対化して結びとするのが興味深い。2020/02/23
はね
3
父に溺愛された娘と、劣等感の塊になっていた?元夫の告白からなる構成。踊り、能のこと、京言葉が新鮮だった。林真理子さんは京都が大好きで、歴史ものが好きで、だから取材の吸収も速くて確かなのだろう。とても面白く読めた。2020/02/09
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- 野菜だより2014年11月号