出版社内容情報
劉向[リュウキョウ]
著・文・その他
池田 秀三[イケダ シュウゾウ]
著・文・その他/翻訳
内容説明
前漢の大儒・劉向の編になる『説苑』。君道・臣術・復恩・政理・尊賢・権謀などに関する膨大な故事説話を集めるが本書では九十五を収録。あらゆる学問を博捜した士大夫の使命は、儒家と諸子思想の統一、さらに政治の理、王朝永続への指針を示すことであった。「君子の徳は風」「忠臣は君に殉ぜず」など、君と臣のあり方や、学問、人心、身の処し方を説く。
目次
君道(君主のあり方)
臣術(臣下の責務)
建本(土台をしっかり)
立節(節操を重んじる)
貴徳(恩徳を第一とせよ)
復恩(恩義に報いる)
政理(為政の道理)
尊賢(賢者を尊ぶ)
正諌(君主の正しい諌め方)
敬慎(身を慎め)
善説(巧みな弁論)
奉使(使者の心得)
権謀(時宜に応じたはかりごと)
至公(最高の公平)
指武(武力について)
談叢(話のタネ帳)
雑言(よもやま話)
弁物(怪異の弁証)
修文(礼楽の振興)
反質(質朴に反れ)
著者等紹介
池田秀三[イケダシュウゾウ]
1948年、大阪市に生まれる。京都大学文学部卒業。同大学院修士課程修了。中国哲学史専攻。京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゅてふぁん
39
劉向撰・編、前漢中期までの故事説話集。『人の心は金しだい』『後悔先に立たず』など有名な故事成語の宝庫。歴史事実とは異なる話や他書の記述とは矛盾する話もあるとのこと。いつかそれらの違いを比較できたら面白いだろうな。この作品に頻出する‘晏子’がどんな人物なのかとても気になる。中国古典を読んでいると日本の古典に出てくるフレーズに出会うことが多々あって、清少納言や紫式部などの平安貴族たちと同じものを読んでる気分になって嬉しい。2020/06/13
ひよピパパ
4
前漢の劉向の編になる『説苑』の訳注本。全編に対する訳注ではないが、各編の特色を典型的に示すものが選ばれており、この一冊で『説苑』のエッセンスが堪能できるようになっている。儒家思想がベースになっているが、雑家的で諸子百家全ての系統の話が収録されているのが特徴で、これは道家的だ!これは法家的だ!と考えながら読めて楽しかった。斉の宰相である晏子のエピソードが面白い。オススメ。2020/04/20
山崎 邦規
1
説苑は別の本で読んだことがあって、非常に好んでいたが、本書でもその魅力が遺憾なく発揮されていた。出来事を記述し、それを儒教の経典で根拠づける論法が多いが、全体として論じている趣旨が痛快である。どこがポイントで、こうやって快いのか、分析はできていないが、この思想集団における基本路線が私には非常に刺さる点は確実である。大言壮語して微細なところを一顧もしないというと、反発は必定だが、そうした戒めを銘記しつつも、本書のような大きな論説は愉快なることこの上ない。2023/08/07