出版社内容情報
比類なき
“私小説(賢太文学)”
犯罪
加害者家族の
背負う
罪なき罰
父の性犯罪により解体した“家族”
その記憶の瓦礫の下から、影が動く。
七年の月日を経て、服役を終えようとする
「あの人」の影が――
怪作「崩折れるにはまだ早い」 併録
その逮捕を機に瓦解した家族。
刑期を終えようとする父。
出所後の夫の復讐に怯える母。
家出し、消息不明となった姉。
十七歳、無職の北町貫多は、如何なる行動に出るのか――
犯罪加害者家族の十字架を描く表題作と、
その表裏をなすも“不”連作である「病院裏に埋める」の両篇に加え、
快作「四冊目の『根津権現裏』」に、
怪作「崩折れるにはまだ早い」(「乃東枯」改題)の四篇を収録。
比類なき文学。
内容説明
その逮捕を機に瓦解した家族。刑期を終えようとする父。出所後の夫の復讐に怯える母。家出し、消息不明となった姉。十七歳、無職の北町貫多は、如何なる行動に出るのか―。犯罪加害者家族の十字架を描く表題作と、その表裏をなすも“不”連作である「病院裏に埋める」の両篇に加え、快作「四冊目の『根津権現裏』」に、怪作「崩折れるにはまだ早い」(「乃東枯(なつかれくさかるる)」改題)の全四篇を収録。比類なき文学。
著者等紹介
西村賢太[ニシムラケンタ]
1967年7月12日、東京都江戸川区生まれ。中卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
八百
47
一作ごとに都合良く新たな主人公を設定できぬと本人が断言しているのだからこの時を行きつ戻りつの私小説をマンネリと腐すことは出来なくなってしまったようだ。冒頭二篇を飾るのはただ過ぎて行ったSWEET 17 BLUES、精一杯の虚勢を張るもほんとはすごくないボクのエスケープの物語。母親や職場の先輩から這う這うの程に至るまでもなく尻尾を巻く無様な逃亡はこれまでの破天荒でスタイリッシュなボクとは程遠くそのそこはかとなく漂う寄る辺なさにダメっぷりが加速する。没後弟子噺も冴え渡り北町貫多劇場セカンドステージ乞うご期待 2020/10/13
りつこ
45
貫多と久しぶりの再会。2019年に発表した作品のようだが、1,2話目は10代の頃の貫多。服役中の父親が出所してくることに怯え、母親にたかり、そして逃げ出す。劣等感と自惚れ、暴力性と小心さ。人間らしいといえば人間らしいが、お知り合いにはなりたくないタイプ。私小説だから作者自身に重ねて読んでしまうわけだが、独特のユーモアについ笑ってしまう。初期の頃の内から沸々と煮えたぎるような感じはなくなって、その分貫多の孤立感や寄る辺なさが際立つ。 4話目の「崩折れるにはまだ早い」には新鮮な驚きがあった。2020/06/02
抹茶モナカ
45
コロナの影響で図書館から借りるのに時間がかかった。何と言うか、感傷的な書き振りに、普通の人の感じを受けた。何処か、笑いで支えられていたように西村作品について、イメージしていたが、父親の性犯罪について触れたせいか、普通の私小説になっていて、第3の新人の辺りと似ていて、確かに上手に書けてるけど、氏の言葉で言うと、あきたりない。突き抜けていない感じ。或いは、小説形式の本を僕が読んだのが久しぶりだったせいかもしれない。2020/04/17
tomi
40
4篇中、表題作と「病院裏に埋める」は北町貫多17歳の物語。もうすぐ刑期を終えて帰ってくる服役中の父親に怯える母と貫多。母は金の無心をし、暴力を振るう貫多にも怯えている。貫多の母に対する愛憎が描かれているが、母親が描かれるのは珍しいのでは?「崩折れるにはまだ早い」は、まさかのラストに意表を突かれた。2020/10/05
carl
39
暗い私小説の短編集。 10代の暗くて卑屈で屈折した主人公から突然中年の小説家の 話になって少し戸惑った。出来ることなら続いている話が読 みたかった。難しい漢字と最近聞かない言い回しがたっぷり。難しくチョット退屈な昔の小説を読んでいるような感じだった(饐えた匂いがしてくる)。 只々暗くてパッとしない話だったが惹かれた。もっと深く読めれば良かった(読む力が必要と感じさせられた)2020/05/20
-
- 電子書籍
- 彼はスーパースターで元カレで。【マイク…