出版社内容情報
茂木 健一郎[モギ ケンイチロウ]
著・文・その他
内容説明
私たちの心の中で起こっていることは、すべてニューロンの発火である。しかし、それが複雑に影響し合うことによって、心の中には熱帯雨林のように豊かで、唯一無二のクオリア(質感)が生じる。自然科学としての「因果的自然」と、クオリアが表す「感覚的自然」―「脳」と「心」は、どのように結ばれるのか?意識の謎に正面から挑む科学者の主著。
目次
「心」と「脳」を「クオリア」が結ぶ
認識は「私」の一部である
「反応選択性」と「認識におけるマッハの原理」
認識の要素
相互作用同時性の原理
最大の謎「クオリア」
「意識」を定義する
「理解」するということはどういうことか?
新しい情報の概念
生と死と私
私は「自由」なのか?
心と脳の関係を求めて
著者等紹介
茂木健一郎[モギケンイチロウ]
1962年、東京都生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学大学院物理学専攻課程修了(理学博士)。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。“クオリア”をキーワードに脳と心の関係を探究しながら、文筆家、批評家としても幅広く活躍する。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かば
20
自由意志の有無に究極真理の片鱗を見出そうとする悩める旅人たちにぜひともお勧めしたい一冊。たしかに近年の著者のSNS周りにおける奇行を横目にしてきた人々は何となく胡散臭い似非科学者というレッテルで忌避する気持ちも大変わかる。しかし、この著書に現れているのは、若人が世界という大海原に向かって科学という武器を手に真摯に対峙しようとする大きな意志を感じさせられるのだ。食わず嫌いはよろしくないぞ。2019/11/16
踊る猫
18
瑞々しさを感じる。あるいは若々しさと言ってもいいかもしれない。この本は茂木が若かりし頃、まだマイナーな学者だった頃世に問うた一冊だがそうした事情だけがそんな印象の原因というわけではないだろう。茂木はクオリア、つまり世界の質感に対して抱いた驚きとショックをそのままピュアな心で受け留め、そこから研究を始めた人間だったのだと思う。良かれ悪しかれ、そうした驚きをダイレクトに受け留めてしまった人間、そうしたある種の呪われた概念を真っ向から引き受けようとする人間だからこそ書ける力作であると思われる。哲学的にも楽しめる2022/07/10
那由田 忠
14
この時点でのAIと現在のAIでは能力がかなり違う。クオリアの獲得はないとしても、無数の文書からクオリアに関する情報を得て似たものを得ているようだ。少なくとも一般人にわからないくらいの対話ができる。ややこしい時代となってしまった。2025/03/04
ミズグ
6
読みきった。 これを読まないと筆者の本質はわかり得ない。2020/01/22
しみそー
5
茂木健一郎すごい! 昨今のTwitterのあれこれとかいう前にこれを読んだほうがはるかに著者のことがわかる。食わず嫌いは良くないね…■相互作用同時性の原理から、意識の固有時における「瞬間」が物理空間の時間(相対論的時空における固有時)においては幅を持ちうるという議論は面白すぎて、叫びながら読んだ。そこから興奮性のニューロンの相互結合をしている部位を「意識」の脳内の空間範囲だと説明する。説としてすさまじく面白い。■クオリアってめっちゃ大事じゃないかと思った。クオリアについて考えたい人必読。(コメントに補足)2021/08/24