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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゼロ
90
最終巻。前巻もそうでしたが、今巻も怒涛の展開が続きました。刀萌が死んでから、周りにいた人間が不幸になり、人が死にで展開していくのでしんどくはありました。もしくは、安っぽく取ることもできるのですが、描写の執念が凄まじくこれはこれでありなのかなと感じました。最終話を語りで終わらせるところを見ると、著者はもっと時間を掛けて物語を描きたかったのだな…というのも伝わってきました。最後の類の「倖せは赤い色をしている」という言葉の重み。分からないことの方が幸せなのか、幸せって分からないですね。2022/03/19
眠る山猫屋
42
終局。ほどけないほど捩れた仲間たちの繋がりは、最早断つしかなかったのか。大切な人の死が絡んでいるから、言い訳も謝罪も形を与える事が出来ない、別式とて武家であるのだから。誰より引き返せなかった切鵺が、類への気持ち(今まで抑え込まれていた感情や欲望全て)を狂気に変換してしまう悲劇。魁の絶望。島田さえ、源内への気持ちを祓う為に最後に暗躍した。切鵺の最期は描かれないが、あの気持ちを抱えたまま類を諦めたはずはない・・・ならば。そして物語の結末に、懐かしい再会があって救われた。団子に串は必要ってことだ。2020/08/28
コリエル
7
完結。誤解と行き違いの果てに、団子の仲間は串から抜け落ちていく。源内が残した言葉は切鵺に呪いかまたは解放の祝福を与え、それが最後に残った類と切鵺の運命も狂わせる。色盲であることで、無類の強さを得た代わりに情の欠落を抱えることになった類が残した言葉が「倖せは赤い色をしている」というのは、人の気持ちを取りこぼしてきたために喪った多くの者たちを想ってのことだったのか。うん、面白かった。2019/11/22
HK
5
完結。歴史に残るべき傑作。軽やかな変わり種の時代劇という風情ではじまった本作は、最終巻にいたり因果と情念が幾重にも絡み合って、ジェイムス・エルロイを思わせる屈指のノワールとして結実した。売り上げが振るわないため7巻構想が5巻完結になったとのことで、本来の尺で読みたかった気持ちもあるが、打ち切りゆえの展開の密度の高さと込められた執念が作品の凄みになっている感もある。2020/01/28
かやは
4
可愛らしい絵柄に似合わず、愛憎入り混じった人間の「底知れなさ」を描いた作品だった。現代より名誉が重んじられた時代故のしがらみとか、男より強い女の身の振り方が最終的にはああならざるを得ないところとか。切ないねえ。2020/12/27