出版社内容情報
好事家たちが奇怪な珍味を競い合う抱腹絶倒の戯曲「珍饌会」をはじめ、文豪・露伴の食に関する蘊蓄が盛り込まれた名随筆を収録。
内容説明
此方あ何様せただの美味いものを食ったって悦ぼうという玉じゃあ無えので、人のまだ食わねえ誰も知らねえ、通の上の通、異の上の異なものを食おうというんだ―。露伴周辺の好事家たちをモデルに描く抱腹絶倒の戯曲「珍饌会」ほか、河豚を愛した文人の漢詩を読み解く「桃花と河豚」、故事来歴から料理法まで網羅した「鱸」など、稀代の碩学・露伴の蘊蓄と諧謔を味わう名篇集。
著者等紹介
幸田露伴[コウダロハン]
1867・8・22~1947・7・30。小説家。江戸下谷生まれ。別号に蝸牛庵ほかがある。電信修技学校を卒業し、電信技手として北海道へ赴任するが、文学に目覚めて帰京、文筆を始める。1889年、「露団々」が山田美妙に評価され、同年発表の「風流仏」、91~92年の「五重塔」等で小説家としての地位を不動のものとし、尾崎紅葉とともに「紅露時代」を築く。1908年からは京都帝国大学で国文学を講じ、のちに文学博士号を授与され、37年には第一回文化勲章を受章する。漢文学・日本古典に通じ、多くの史伝、考証、随筆を残した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Susumu Kobayashi
8
明治・大正・昭和にかけて大きな功績を残した文豪幸田露伴の食に関する文章を集めたもの。府立一中(現日比谷高校)を中退し、東京英学校(現青山学院)も中退、後に電信修技学校を卒業して、電信技師として北海道に赴任するが、文学に目覚めて、一か月後に免官、という経歴で、それだけ見れば何やってんのかだが大成した。しかし、これだけの学識をいつどこで得たのだろうと驚くばかり。表題作は露伴周辺の好事家たちをモデルに、「人のまだ食わねえ誰も知らねえ、通の上の通、異(おつ)の上の異なものを食おう」という会を描いた抱腹絶倒の戯作。2020/03/08
qoop
7
知識と好奇心に裏打ちされた食の随筆も面白いが、何といっても本書の白眉は表題作。露伴がこんな悪食スラップスティック小説をものしていたとは! 食通気取りたちが催すゲテモノ賞味会の馬鹿馬鹿しさはいっそ清々しいレベル。多様な食材や調理法が解禁された明治という時代背景が窺える。カルチャーギャップと俗物根性を同時に嗤い飛ばす怪作。初代小せんが仕上げた落語「酢豆腐/ちりとてちん」を元ネタだと考えたいが、成立年代を比べてみたい。また露伴の交友関係とされる登場人物のモデルたちと照らし合わせて読み返してみたい。2020/01/10
niz001
6
初露伴センセイかな。タイトルは知ってたけど機会の無かった「珍饌会」。 こんな(今で言う)コメディ寄りとは思わんかった。2019/11/16