内容説明
「国境なき医師団」で働くのは医師や看護師だけではない!現地ルポと日本人スタッフへのインタビューで迫る、「人道主義」の最前線。
目次
第1章 「国境なき医師団」ってどんな組織?(MSFはいつ誰が設立したの?;三大原則とは? ほか)
第2章 MSF日本インタビュー1(アドミニストレーター 高多直晴さん;ロジスティシャン 吉田由希子さん ほか)
第3章 現地ルポ1(ハイチ;ギリシャ ほか)
第4章 MSF日本インタビュー2(国境なき医師団日本会長 加藤寛幸さん;活動責任者 村田慎二郎さん ほか)
第5章 現地ルポ2(ウガンダ;南スーダン)
著者等紹介
いとうせいこう[イトウセイコウ]
1961年、東京都生まれ。編集者を経て、作家・クリエーターとして活字・映像・音楽・舞台など多方面で活躍。『ボタニカル・ライフ』で第一五回講談社エッセイ賞を受賞。『想像ラジオ』が三島賞・芥川賞候補となり、第三五回野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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やすらぎ
218
救えた命よりも救えなかった命のことを考えてしまう。真の言葉は心底から響く。ふとしたきっかけから取材したいとうせいこうさんは、言葉をなくしたのだろう。日本では国境なき医師団と呼ばれる、MSF。その成り立ちや取り組みを読者に伝え、裾野を広める目的の尊い本。医療だけではどうにもならない現実。非道な攻撃、予期せぬことに戸惑いながら、正しい道を進み続ける。将来何になりたいの、その問答は「学んで働いて、人のためになりたい」。私の生活は恐怖と苦悩だ。悲痛な叫びに今も子どもたちは耐えている。危険地帯での活動は続いている。2023/10/15
kinkin
95
2009年から「国境なき医師団」を取材している著者。「国境なき医師団とはどのような組織なのか、組織のこと、今世界中で起きている紛争や難民キャンプの実態をハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダ、南スーダンの実態とそこでの活動について書かれている。「国境なき医師団」については世界中の紛争に出向いて医療活動を行う医師の集団と思い込んでいたのでこの本で違う面を持っていることも知った。読んでいる最中にアフガニスタンで中村医師が銃撃で死亡した。国境なき医師団ではないが基本的なスタンスは同じだと感じた。図書館本2019/12/10
mug
64
“国境なき医師団”聞いたことあるので知っている気になっていたが…。 知らないことだらけだった💦 ●医療従事者だけでなく、非医療従事者が多い。様々な業種が連携することで、現地での活動ができている。 ●治療だけでなく、分娩やメンタルケアも多く行っている。心理ケア用の車がある所も。 ●MSFは『風のように飛んできて、風のように去る』と言われている。←基本的には、初動のニーズを他団体に引き継ぐことができれば撤退。2020/06/26
yumiha
50
かつて「国境なき医師団」がカンパ活動をされていた時、スルーしちまったこと、反省です💦💦💦だって、どんな組織か?どんな活動をされているのか?あまり知らなかったので、ニュースで見たカンパ資金をネコババするセコイ人たちかも…と思ったものだから💦活動資金の95%が寄付で成り立っていることを知った今は、申し訳なさでいっぱいです。「苦境にある人々、天災、人災、武力紛争の被災者」たち、つまりグローバル・サウス(『人新生の…』で知った)の方々に援助を提供する活動…頭が下がります。2021/12/09
Nobuko Hashimoto
37
紛争地や災害地にいち早く乗り込み、医療支援を実施している「国境なき医師団」。資金の95%は民間の寄付、それも個人がほとんど。独立、中立、公平を徹底し、どちらの側にも与さない。ロジスティシャンやアドミニストレーター(物品調達、安全確保、環境整備、広報、交渉など)等、非医療従事者が半数で彼らが医療を支えている。実務経験と語学が重視され、採用されるのは簡単ではないが、定年後あるいは子育てが終わってから活動する人も多いとか!私には無理だから、寄付と、紛争、貧困、人道支援に関心を持つ若者を育てることで貢献しよう!2020/09/30