内容説明
人生を八十年とし、それを四で割ってみた。四は四季の四である。すると、今年五十のわたしは、秋の真んなかにいる。夫は高校の同窓生。卒業後十数年ぶりに再会し、結婚した。けれどある日、高校時代の友人の口から、かつて好きだった卯月くんの名前が出て―。大人の心に寄り添う、切なく優しい短編集。
著者等紹介
朝倉かすみ[アサクラカスミ]
1960年、北海道生まれ。2003年「コマドリさんのこと」で第37回北海道新聞文学賞、’04年「肝、焼ける」で第72回小説現代新人賞、’09年『田村はまだか』で第30回吉川英治文学新人賞、’19年『平場の月』で第32回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
読書素人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のんちゃん
45
帯裏に「どこにでもある日が、ここにしかない物語に変わる」とあるがまさにその通りの短編集。朝倉作品は読メ登録以前に読了のものも合わせて3作目。いつも街中のすぐ隣を歩いている人の身の上話の様な作品だが、底が深く「あぁ、これって、人生、思った様にはなかなか行かず、この世は修行ってことよね」とほんのり軽くだが感じる作品なのだ。特に本作は6篇の主人公の平均年齢が51歳との事、親近感が湧く。さぁ、次は待望の『平場の月』どんな風に思い通りに行かない人生が待っているのか、切なくも読むのが楽しみだ。2022/01/16
エドワード
41
50代。今でも、ローカルアナに心ときめく。「会社にいる時は、舞台女優になったような感じがする。」同僚たちが期待する自分を演じればいい。たそがれどきに見つけたもの。それは、ひたむきに生きていた、あの日の自分。メールが無い頃、夢中で書いた、ファンシーな便箋、丸い文字、乙女チックな手書きの手紙。思い出の映画は「アラジン」。夫と出会って、本当に新しい世界が開いた。娘が生まれて、二つ目の新しい世界が開いた。共感があふれる。歌詞が心にしみ込む、「ホール・ニュー・ワールド」。最後の話だけ少し悲しい。いい本読んだな。2020/10/11
涼
33
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2020/06/post-c90fbc.html2020/06/04
ちょん
28
平均年齢51歳の主人公たちの短編集。面白かったなぁ✨✨物語の舞台がほんのり北海道が多いのも嬉しい♥朝倉さんの出身地ですもんね。個人的には「王子と温泉」をもう少し読みたかった(笑)えっ、ここで終わり?もう少し続けてください‼️って叫びたくなりました(笑)2020/05/04
hrmt
27
朝倉作品2作目。みな自分の歳で計算したはず。人生80年を四季に例えると私も今は秋の盛り。実りはあったか?と首を傾げ、24で割って一日に例えると黄昏時…そうか、私も既に黄昏時か…とか、でも逢魔が時とも云うぞ⁉︎などと苦笑した。そんな年代の人を主人公にした短編集。主人公と同年代の自分には心情に思い当たるフシがあったりなかったり、テレたり恥ずかしかったり痛々しかったり。若い頃考えていた50代はもっとちゃんと大人だったけれど、自分がその年になってもあまり成長した気がしない。多分誰もが“まぁこんなもん”なんだろう。2021/07/31
-
- 和書
- 桔梗二十数年根の物語