出版社内容情報
菊地 ひと美[キクチ ヒトミ]
著・文・その他
内容説明
江戸へ三味線を教えに来た菊香と、参勤交代にお供してきた真二郎が、部屋をさがしに江戸の町家や武家屋敷をめぐります。絵解きでめぐる、江戸の暮らし。町人、武士は、どんな家に住んでいた?
目次
第1章 町人―江戸へ、菊香深川に着く(裏長屋;裏長屋の住人 職人;裏長屋の住人 商家;裏長屋の住人 自由人;江戸の女たち ほか)
第2章 武家―真二郎、江戸参勤(直参と拝領屋敷;下級武士の組屋敷;中級武士・旗本の家;武家屋敷の特色 座敷;武家屋敷の特色 夫人棟と水廻り ほか)
著者等紹介
菊地ひと美[キクチヒトミ]
江戸衣装と暮らし研究家。衣装デザイナーを経て、早稲田大学の一般講座や江戸東京博物館で10年間学びつつ、著作活動(文と絵)に入る。2002年から始まった日本橋再開発に作品が起用された。2004年、国立劇場より制作依頼を受けて描いた『伝統芸能絵巻』全4巻(10メートル)は、海外2ヵ国の国立美術館(ローマ・ブダペスト)で3ヵ月間展覧。2008年には、丸善・丸の内本店にて同絵巻の国内初披露を含む個展を開催。現在は絵本を含む著作を中心に活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
134
江戸に移り住む庶民と武士が、これから暮らす物件を検分する設定で当時の生活ぶりをわかりやすく解説していく。改めて江戸は将軍を頂点とした武家の都であり、その消費と人の出入りを前提に組み立てられているのがわかる。日本では過去に平城京、平安京のような計画都市の首都が建設されており、江戸はそれらに続く武家の首都として構想されたのだ。しかし京都の御所や貴族館に比べ、江戸城や各藩邸は桁外れに大きい。同時代のヨーロッパの諸都市でも、これだけ王や貴族の居住区が優先されなかった。この歪さが他にない江戸町人の気風を生んだのか。2022/07/09
ままこ
60
町家と武家の間取り本。「江戸で部屋さがし」どんなんだろうと興味をそそられ手に取った。一般的な長屋の家賃は現代の円に換算して二万五千円だそう。正式な書院と数奇屋風の違いも初めて知った。語り口形式で文字だけではなく、カラーの挿絵も沢山ついて見やすい。当時の地主は風光明媚なところへ移り住み、代わりに世話好きで経済感覚のある人を大家として選んで任せてたんだ。建物の配置や間取り、町人と武士の江戸の暮らしぶりがわかりやすく解説されて面白かった。2025/04/03
真理そら
60
伊達藩から江戸に移り住むことになった三味線の師匠・菊香さんが大家さんに町屋を案内される町人編。伊達藩から参勤中の青年武士が道場仲間の旗本の息子に武家屋敷を案内される武家編。図版が豊富で妄想逞しく楽しく読み終えた。いつも思うけれど4畳半一間で4~5人家族がどうやって住めるのか不思議だ。1人畳一畳もないんだよね。2022/07/06
はる
50
面白かったです。地方から出て来た人を江戸住まいの人が案内する設定。会話形式で当時の人達の住まい、生活、風俗が分かりやすく説明されています。挿絵も豊富で分かりやすい。ちなみに長屋の標準は4.5畳一間で店賃は月額2万5千円程度だったとか。2025/03/04
ヒデミン@もも
49
楽しかった。江戸の庶民になってみたいと思わないけれど、その生活を覗くのは、いや、想像するのは楽しい。この本は思っていた以上に真面目で詳細に江戸の暮らしが描かれていた。残念なのは、著者が描いた図の線が薄くて見にくいところ。浮世絵も模写されているが、本物の浮世絵の方が良かった。特に大好きな歌川豊春の『浮世絵駿河町呉服屋図』。 2022/07/01