出版社内容情報
内容説明
強い殺人願望を抱く高校生。かつて残虐な連続強姦事件を起こした鬼畜。二人が至近の距離に住むことを知ったスクールカウンセラーの千早は、不吉な胸騒ぎを覚える。その動揺は奇妙な連鎖を生み、千早は混沌の渦中へ。得体の知れない他人と共に生きるとは。緊迫の会話劇と展開に目を見張る。第二十回大藪賞受賞作。
著者等紹介
呉勝浩[ゴカツヒロ]
1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。2015年『道徳の時間』(講談社文庫)で第61回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2018年『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
156
著者二作目は大藪春彦賞受賞作。凄惨な罪を犯した犯罪者が刑期を終え、もし自分が住む地域に暮らし始めたとしたら、それを受け入れることができるでしょうか。また同じ罪を重ねるかもしれないからと、やはり排除するでしょうか。法に基づく罪は償っても、今のその人の内面は分からないから怖いのです。一度罪を犯してしまったら、二度と社会に受け入れられることはないのか。今まで考えることを避けてきたことかもしれないけど、難しい問題だと思いました。2021/10/17
イアン
135
★★★★★★☆☆☆☆大藪春彦賞を受賞した呉勝浩の長編。ぼくは、人を殺してみたい――。スクールカウンセラーを務める千早は、一人の少年から衝撃の告白を受ける。一方その頃、同じ町にかつて日本中を震撼させた連続婦女暴行犯・入壱が住んでいるとの噂が流れ――。「贖罪とは何か」という難題を哲学的ともいえるアプローチで示している。繰り返し語られる「包摂」という概念。服役を終えた元凶悪犯を排斥しようとする住民たちを「浅はかな者」として著者は描いているが、愛する人を護るために必死に行動する彼らを、私は嗤うことができなかった。2025/06/21
H!deking
89
やっぱり呉さんは面白いですね〜!スクールカウンセラーの主人公と殺人の衝動を相談にきた中学生。過去に猟奇的事件をおこしたが刑期満了して出所してきたサイコパス。人間は他人をどこまで受け入れられるのか?!あなたの近所にサイコパスが住んでたらどうするの?!ざっくり言うとこういう感じのお話です。これまたどこにも感情移入出来ないお話でした。呉さんすっかりくせになってます笑2023/06/24
ゆいまある
86
エンタメ作品。スクールカウンセラーが主人公。「人を殺したい」という高校生が現れ、殺したい程酷い事件を起こした犯罪者が現れる。心理職と精神科医の境目がぐちゃぐちゃだし、私的なカウンセリングと公的な精神鑑定の区別もつけていないし、性犯罪は自主規制で細かく報道されないものだし、実名報道された犯罪者は名前変えるから簡単に居場所特定されないし、突っ込みどころしかないが、それはそれ。犯罪者と共存しながら生きていくべき。彼らと我々は変わらないという着眼点は面白いしリーダビリティも高い。ミステリパートがまどろっこしい。 2023/08/15
yutaka
62
呉勝弘6冊目。色んなことを考える切っ掛けになる作品ではあるが、感想を文章にするのが難しい。悪を包摂する社会は必要と思う一方で、自分の身近な人を害した加害者を受け入れることができるかと言われれば、そこまでの聖人君子にはなれそうもない…。う~ん、難しい…。2024/06/19