出版社内容情報
長靴の形をしたイタリア半島に蹴り上げられるように、地中海に浮かぶ最大の島、シチリア島。マフィアの故郷として知られ、人気の観光地でもあるこの島は、現在はイタリア共和国の一部となっているが、しかし、古くからここは「イタリア」だったわけではない。文明の先進地域・地中海とヨーロッパの歴史を常に色濃く映し出し、多様な文化と宗教に彩られてきたシチリア島。その3000年に及ぶ歴史を描き出し、シチリア島から世界史を照射する。
シチリアの覇権をめぐって最初に争ったのは、古代ギリシア人とフェニキア人だった。その後、ローマの「最初の属州」となり、ローマ帝国の穀倉となった。中世にはイスラーム勢力が柑橘類の栽培や灌漑技術を導入し、当時の先端文明と通商ネットワークをもたらしたが、北フランス出身のノルマン人たちがこれを屈服させて「シチリア王国」を建て、栄光の時代が訪れる。さらにドイツのホーエンシュタウフェン家、フランスのアンジュー家の支配が続き、ヴェルディのオペラで知られる「シチリアの晩祷事件」を境に、アラゴン・スペインによる「長く、暗い時代」に入る。フランス革命期にはイギリスの保護下に置かれるが、19世紀にはイタリアの統一運動、すなわちリソルジメントに巻き込まれ、イタリアに併合されていく。
絶え間なく侵入した「よそ者」と、宗教・文化の交錯の過程で、シチリア人の誇り高いアイデンティティは形成された。そして今、北アフリカから小さなボートで「新たなよそ者」が押し寄せているシチリアは、まさにグローバル化した世界の台風の目となっている。
〈目次〉
序章 シチリア島から世界史をみる
第一章 地中海世界と神々の島
第二章 イスラームの支配と王国の栄光
第三章 長くて、深い眠り
第四章 独立国家の熱望と失望
第五章 ファシズムと独立運動
終章 「シチリア人」の自画像
あとがき
参考文献
関連年表
シチリア王の系譜
内容説明
絶え間なく侵入した「よそ者」と、交錯する歴史の中で、この島の人々の誇り高いアイデンティティは形成された。古くはギリシア人とフェニキア人が覇権を争い、次にローマの穀倉となり、中世にはイスラーム勢力が、そしてノルマン人が栄光の時代をもたらす。さらにフランス、スペイン、イギリスなど強国の確執―。多様な文化と宗教に彩られてきた三〇〇〇年を描き出し、シチリア島から世界史を照射する。
目次
序章 シチリア島から世界史をみる
第1章 地中海世界と神々の島
第2章 イスラームの支配と王国の栄光
第3章 長くて、深い眠り
第4章 独立国家の熱望と失望
第5章 ファシズムと独立運動
終章 「シチリア人」の自画像
著者等紹介
藤澤房俊[フジサワフサトシ]
1943年、東京生まれ。早稲田大学大学院博士課程修了。文学博士。東京経済大学教授を経て、東京経済大学名誉教授。著書に、『赤シャツの英雄ガリバルディ―伝説から神話への変容』(洋泉社、マルコ・ポーロ賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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