出版社内容情報
19世紀英国。隻眼の異端者・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。孤独な少年が見つけた、怪異と友情――。
内容説明
親族に疎まれ失意のまま辺境の神学校に編入したオーランドは、この世の怪を蒐める不思議な少年と出会う。のちに日本で『怪談』を著したラフカディオ・ハーン―小泉八雲が英国で過ごしたまばゆい青春と友情の記録。日に日に恐るべき速さで成長する子どもが彼らのもとをおとずれる奇譚「名もなき残響」、姿を消した黒猫と死を呼ぶ青い蝶を巡る「Heavenly Blue Butterfly」、他一編。
著者等紹介
久賀理世[クガリセ]
東京都出身。東京音楽大学器楽専攻ピアノ演奏家コース卒業。『始まりの日は空へ落ちる』で集英社ノベル大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
62
小泉八雲という名前は今のところ頭になくても楽しめる? いつ頃日本にやってくるのだろう。長いシリーズになりそうだ。2019/05/29
ダージリン
55
「罪を喰らうもの」がとてもやるせない結末でしたが、だからこそ余計にパトリックとオーランドの友情が貴重なものに思えます。ふたりとも現在の家族関係は幸薄いし、怪異が見えるという共通点もあるし、お互いがいなかったら耐え難かったかもしれません。次はアイルランドのお家訪問ですか! 楽しみにしてます!!2019/06/24
はるき
34
著者のあれも入れたいこれも入れたいという熱意が凄い。情報量の多さは利点であり欠点。読んでいて少し混乱した。でも、私は好き。2019/06/17
よっち
34
神学校の閉ざされた聖堂に現れた変死体。神学校に編入したオーランドとこの世の怪を蒐める不思議な少年・パトリックが身の回りに起こる怪異に立ち向かう第二弾。日に日に恐るべき速さで成長する彼らのもとを訪れる子供の正体、姿を消した黒猫と死を呼ぶ青い蝶、そして変死体を巡る怪異譚。手回しオルガンや黒猫の話にはまだ救いがありましたけど、貴族を巡るお家事情とか神学校にやって来る生徒たちは何かしら鬱屈を抱えていて、しんみりとした気分になってしまいました。まだぎこちない二人の交友がアイルランド行きで良い方に変わるといいですね。2019/06/07
mahiro
33
若き日のラフカディオ・ハーンが寄宿する神学校で、友人のオーランドとともに怪異な事件に遭遇する。3巻目は既読1巻目は手に入らず。1話目の手回しオルガン弾きの少年の話は儚く切ない短編に見えて後の展開の伏線もある。使われない聖堂で発見された不審な死体、事件の解決と言うより友情のもつれやどろどろな貴族の家系の思惑から来る悲劇と、『あちらの世界』からやって来る怪異が描かれる。陰の多い石造りの館と昏い森の中に潜む何かやどんよりとした曇り空のイギリスの風景の中の物語は好みではある、主人公達のキャラもいい。2021/06/21