著者等紹介
湯本香樹実[ユモトカズミ]
1959年、東京都生まれ。東京音楽大学卒。小説『夏の庭The Friends』で日本児童文学者協会新人賞、児童文芸新人賞を受賞。同作品は10ヵ国以上で翻訳され、ボストングローブ・ホーンブック賞、ミルドレッド・L・バチェルダー賞などを受賞。『くまとやまねこ』(絵・酒井駒子)で講談社出版文化賞絵本賞受賞。絵本の翻訳も手がける
はたこうしろう[ハタコウシロウ]
1963年、兵庫県生まれ。絵本作品多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちゃちゃ
116
「あなたがおとなになったとき」、繰り返されるフレーズは、私たちの祈り。見上げると抜けるような青空が、風にそよぐ爽やかな緑の木々が、辛いときに慰められる歌が、内なる世界を広げる本が、どうかあなたの日常を彩ってくれていますように。「人生はおもいがけないものでいっぱいの森」それでも、勇気を持って森の中に分け入ってほしい。一人で孤独に打ち震える夜も、いつかは明けて新しい朝がくる。そして、この絵本の鳥のように、遠くであなたを見守っている存在がいる。湯本香樹実さんとはたこうしろうさんの素敵なお二人のコラボ絵本。2019/09/30
☆よいこ
90
絵本。卒業式や年度末に読みたい、約3分。「あなたがおとなになったとき」で始まるメッセージ。はたこうしろうのイラストの力が大きい。▽あなたはまだ「おとな」ではなくて、でもいつかは「おとな」になるだろう。前を向いて走り続ける先に、森があり壁があり、海がある。耳をすまし、夜明けのとりの声、風の音を聞くことを忘れないで欲しい。2021/02/02
よこたん
55
“それでも よあけのことりたちは うたうだろう 何億の夜をこえて ただいちどだけの きょうがはじまる そのふしぎさを” どこを目指してかはわからない、虚ろな心とは別に疾走する身体。ひとりぼっちで渇いた胸を抱えて。目に映る風景はよそよそしく、溶け込めないあなたがいる。それでも走る、走る、ふと気付けばゆっくりと静かに胸を潤してくる気配がある。そして、青い鳥はいつもあなたのそばにいるんだよ。大人が子どもに語りかける言葉であり、大人自身のなかの子どもだった自分に語りかけてもいるような言葉が、私にもしみてくる。2019/10/27
ぶんこ
51
もう大人になっても長い私が読むと、大人になったら、楽になったよ」と、若かりし頃に悩んでいた私に伝えたい。廃墟があったり、海辺に飛行機が落ちていたり。暗い時代なのか。それでも森はあり、海も拡がる。木は大きくなっていき、あなたも大きくなっていく。最後のページで、大人になった時は幸せになっていると思えてよかった。2024/04/04
モモ
48
この絵本を子どもの頃に読んだら、どんな風に感じたのかなと思いつつ読んだ。子どもにとっての未来は未知であるぶん、楽しみでもあり、怖くもあるのだろう。でも、どんな一日でも、また新しい一日が始まる。かつての自分と子どもに「きっと大丈夫」と言ってあげたくなる一冊。2019/12/05