出版社内容情報
明治三陸地震のあと、港町・仙河海で、正妻の子である兄とそりが合わず、鬱屈を粗暴な振る舞いで晴らしていた甚兵衛。事故で沖買船を失うも、北洋でのラッコ・オットセイ猟のことを知り、すべてを賭ける。東北から遙か北の海に繰り出した明治の男の覚悟と男気を描く。著者のライフワーク「仙河海サーガ」、最初の物語。
内容説明
二万人の犠牲者を出した明治三陸地震。魚問屋の社長と女郎屋の女将の子、菅原甚兵衛は、正妻の子である兄とそりが合わず、鬱屈を粗暴な振る舞いで晴らしていた。事故で船を失ったことを機に、遥か北洋のラッコ・オットセイ猟に大勝負を賭けた!東北の明治男の覚悟と勇気。「仙河海サーガ」、最初の物語。
著者等紹介
熊谷達也[クマガイタツヤ]
1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。中学校教諭、保険代理店業を経て、’97年「ウエンカムイの爪」で小説すばる新人賞を受賞。2000年には『漂泊の牙』で新田次郎文学賞を、’04年『邂逅の森』で山本周五郎賞に続き直木賞も受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バボイヨシヤ
12
『邂逅の森』『相剋の森』『氷結の森』の森三部作はじめ、男臭い世界観が好きで何冊か読んでいる。この世で一番憧れる仕事は“漁師”だし、一番カッコいい肩書きは“海の男”だと思っている。「男には勝負すべき時がある!」というベタベタな帯コピーが突き刺さる楽しい一冊だった。 時代設定が前近代的価値観に覆われた物語ではあったが、きっちり熊谷達也的エンタメにビシッと振りきっているので気持ちよく読めた。気仙沼をモデルとした漁港の街に生きる男の一代記。「腹を据えるとはどういうことか?」という人生の命題に向き合った快作。2019/05/01
pio
6
熊谷達也さんの作品は久しぶりで楽しく読めました。中心のテーマがちょっとはっきりしないのが残念な気がしましたが、甚兵衛の痛快で波瀾万丈な半生の物語と思えば良いのだ、と結論づけました。2023/10/18
hasami1025
4
時代は明治ですかね。ラッコ・オットセイ漁というカテゴリーがあったのを知らなかったので勉強になったけど、鯨漁や熊狩りと違って、毛皮だけ取って廃棄するっていうのが、、、、、日本でもそういう狩猟を生業にしていた人達がいたのに驚いた。野心家で頭のいい、男気溢れる主人公だったけど、私は好きになれない。女性や家族に対する誠実さが全く足りない。2020/05/02
たぬ
4
☆4 明治後半からの50年、三陸の海の男の物語。大地震からの大津波を乗り越え、密漁、金の工面、各地で女郎を身請け等々。若い頃は荒くれていた甚兵衛が年齢を重ねるにつれ統率力や決断力を身につけていく様がよく描かれてる。妾の実娘との間に子を作ったのにはかなり引いたけど、ラストシーンの札束ばらまきは私もなんだかスカッとした。欲を言えば孫六のその後をもう少し詳しく! この「仙河海サーガ」は他のも読みたい。2020/04/03
ひろたけ
2
☆32019/02/27