出版社内容情報
文学青年でありながら、家庭の事情でやむを得ず東大医学部へ入学した秋櫻子。在学中に出会った高濱虚子の文章に感銘を受け、自らも作句を始めた秋櫻子は、虚子に師事し、「ホトトギス」の中心的同人になりながらも、やがて虚子の客観写生を旨とした「花鳥諷詠」俳句に反発を感じていく。虚子との出会いと決別までを、山根東洋城、原石鼎、山口誓子、高野素十らとの交流や実作への批評とともに描く、歴史的名著。
内容説明
子規から「ホトトギス」を継承した虚子を敬慕しながら、俳句に対する志の対立から、やがて独自の道を歩み始め、新興俳句の契機をつくった秋櫻子の、若き魂の遍歴。「ホトトギス」の中核的存在だった秋櫻子の離脱という、俳句界を揺るがす衝撃的事件を、詳細に綴っていく。本書は俳句に魅せられた若者達の青春の葛藤を生き生きと再現した、第一級の資料であり、優れた文学でもある。
目次
1 渋柿社
2 ホトトギス雑詠
3 震災前後
4 客観写生
5 俳句の調べ
6 虚子庵忘年会
7 友情
8 花鳥諷詠
9 句集「葛飾」
10 別離
著者等紹介
水原秋櫻子[ミズハラシュウオウシ]
1892・10・9~1981・7・17。東京生まれ。俳人、医師。東京帝大医学部卒。自らの病院を営む傍ら、昭和医専教授、宮内省侍医療御用掛等を歴任する。学生時代に高濱虚子『進むべき俳句の道』を読み、俳句に目覚め、松根東洋城に師事。同時に、短歌にも惹かれ、窪田空穂に師事し、一時、俳句と短歌の実作を続ける。富安風生、山口誓子、山口青邨らと東大俳句会を再興し、俳誌「破魔弓」(改名後「馬酔木」)同人、のち、俳壇の中心だった虚子の「ホトトギス」の同人となり、山口誓子、阿波野青畝、高野素十と「ホトトギスの四S」と呼ばれる。その後、客観写生を標榜する虚子と別の道を歩むため、「ホトトギス」を離れ、「馬酔木」を中心に活動を続ける。1962年俳人協会会長に就任、64年日本芸術院賞受賞、67年勲三等瑞宝章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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