出版社内容情報
島田 荘司[シマダ ソウジ]
著・文・その他
内容説明
自殺する理由がない男女が、次々と飛び降りる屋上がある。足元には植木鉢の森、周囲には目撃者の窓、頭上には朽ち果てた電飾看板。そしてどんなトリックもない。死んだ盆栽作家と悲劇の大女優の祟りか?霊界への入口に名探偵・御手洗潔は向かう。人智を超えた謎には「読者への挑戦状」が仕掛けられている!
著者等紹介
島田荘司[シマダソウジ]
1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』でデビュー。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を超えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳、紹介にも積極的に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
161
いやはやよくもまあこんな話を思い付いたものだ。いつもながら島田氏は社会の底辺で生活苦を強いられている人々や社会に馴染めない青年を事件に絡めて単なるミステリで終わらぬ、格差社会の矛盾など社会問題への提起を物語に含め、半ば作者の主張のような内容を盛り込む。事件に関わる市井の人々を詳らかに、そしてやや饒舌に描く。いずれも我々の周囲にいる普通の人々であり、読んでいる最中それぞれにモデルが浮かび上がることもしばしば。読者への挑戦状、幻想的な謎に合理的な解決とかつての島田本格ミステリが戻ってきたことは非常に喜ばしい。2019/09/06
とろこ
75
ユーモア感あり、ホラーテイストあり。けれど間違いなく本格もので、とても面白く、解説含め548ページをほぼ一気読みできた。いわくつきの、大量の盆栽を引き取り、屋上で育てることになったある銀行。そこのある部署に勤める社員たちが、「自分は絶対に自殺なんかしない」と明言していながら、次々と飛び降り自殺をする…。これは祟りか呪いなのか?警察も手を焼く事件に、御手洗潔を石岡コンビが立ち向かう!恒例の「読者への挑戦状」もあり、推理小説好きにはたまらない一冊。2020/11/14
HANA
66
ある人は結婚直前、別の人は間もなく子供が生まれる。自殺する理由のない人々が同じ屋上から次々に身を投げる。というテイストから極めてホラーチックな小説を連想するけど、内容自体はユーモラス。御手洗と石岡、新聞記者やラーメン屋と御手洗等会話自体がとても楽しいし、出てくる登場人物もどこか間が抜けていてあっけらかんとしている。特にある一件などは誤魔化せるわけないじゃんと突っ込んでしまった。トリック自体はいつも通りの剛腕ぶりを発揮しておりました。情景を想像すると目が点になったけど。まあアレを横倒しにするよか現実的かな。2021/01/09
たち
47
読み始めてすぐに既視感に襲われて、もしかしてと思って調べたら、やっぱり二年前に発行された『屋上の道化たち』を改題、加筆したものでした。ちょっと不安があったのですが、島田先生が屋上を題材にシリーズものでも出したのか!と、バカなことを考えてしまいました。ですが、まぁ再読っていうことになるのでしょうが、面白かったし、トリックわかっていてもドキドキしたので良かった…のかな。2019/10/22
かめりあうさぎ
45
久々の御手洗シリーズ。期待が大きすぎたせいか、個人的評価はいまいち。どうしても本シリーズにはもっとスケールの大きい時空を超えたような謎解きを期待してしまうのです。これが島田先生の作品でなければ、それなりに面白かったんだろうなと思います。この内容やトリックなら、せめてはじめから御手洗パートを小出しにして、キャラクター部分を楽しめるようにしてくれた方が良かったかな。2019/03/19