出版社内容情報
人は何のために生きるのだろう。そのことが少しでも分かれば、人生は違ったものに見えて来る。今年の秋で、三十三年目を迎える。知らん振りをしてやり過ごすようにはしているが、夏の終りの雨垂れを病院の窓から見ていると記憶は容赦なく背中を叩く。――あの笑顔は、すべて私のためだったのだ。彼女は自分が生きている間は、このダメな男を哀しませまいと決心していたに違いない。人間は誰かをしあわせにするために懸命に生きるのだ。
伊集院 静[イジュウイン シズカ]
著・文・その他
内容説明
人は何のために生きるのだろう。そのことが少しでも分かれば、人生は違ったものに見えて来る。
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年山口県防府市生まれ。72年立教大学文学部卒業。81年短編小説『皐月』でデビュー。91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で第107回直木賞、94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。16年紫綬褒章を受章。作詞家として『ギンギラギンにさりげなく』『愚か者』『春の旅人』などを手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
165
伊集院 静は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。大人の流儀シリーズも読み続けて、第八弾まで来ました。本作は、冒頭の前文『誰かを幸せにするために』につきます。今後も、本シリーズを読み続けて行きます。2018/12/15
おしゃべりメガネ
117
シリーズ第8弾となり、昨年書かれたトコまでやっと追いつき?ました。最初は'大人の流儀'というなんともシブいタイトルで始まったこのシリーズも3作目からはサブタイトルがメインになり、毎回う〜んと唸らせてくれるステキなタイトルばかりです。今作は『誰かを幸せにするために』とありますが、これまたなかなか難しいテーマですよね。全作において、作者さんのダンディズムは基本、ブレませんがやはり年齢とともにだいぶ丸く?なってきたかなと。譲れない信念とさらりとやり過ごす懐の深さや余裕は、しっかりと持ち合わせていたいですね。2019/11/30
ポタオ
28
タイトルに惹かれて買いました。感想としては、人生において大事なことは他者との関わりなんだなと思いました。伊集院先生は過去の出会いを懐かしむように、もう亡くなられた人たちの話が多かったです。別れの前には必ず出会いがあって、永遠の別れから何年たっても鮮明におぼえているぐらいのいい出会いがたくさんあった方なんだなと思いました。いい本でした。2019/03/29
Rie
27
ただ存在するだけで誰かを幸せにすることもできる。誰かは1人かもしれないし複数かもしれない。という事なんだと思った。けどね、伊集院さん、ぎゅうぎゅうの電車内で電話は使ってはいけないよ。向けられた視線は内容ではなく行為に対するものだと。2019/04/27
ハチ
27
シリーズで初ではないかな、ギャンブル、競艇、麻雀て文字がないのはwww今回はかなりお行儀のよい伊集院さんてかんじでこれはこれで良かった。大人とは何か、男とはどうあるべきかをブレずに投げ込んでくる。2018/12/02