うつくしい繭

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うつくしい繭

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  • サイズ B6判/ページ数 230p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784065139660
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

記憶にみちびかれて、私は変わる。空港も鉄道もない、ラオスの奥地の辺鄙な村。そこに佇む瀟洒なホテルのような施設に、世界中から選ばれた者たちが訪れる。コクーン・ルームで記憶の奥深くにアクセスし、その人に最も必要なものを見せてくれる<トリートメント>という施術を受けるために。心に深く傷を負った私は、レモネードという名前を与えられ、客室係の仕事をはじめるが……。表題作「うつくしい繭」をはじめ、愉悦に満ちた文章が、あなたを魂の旅に誘う。

櫻木 みわ[サクラキ ミワ]
著・文・その他

内容説明

まだ誰も知らない、しかしその才能は本物。「ゲンロンSF創作講座」出身・櫻木みわ、デビュー。東ティモール、死者の“声”を聞く少女アニータ。ラオスの山奥、親友と婚約者に裏切られたレモネード。南インド、兄のために癌の新薬を探しに来た中瀬。日本、南西諸島で不思議なとうめいの石を見つけたミサキ。四人の女性が、自らの五感を全開にするとき、世界はつながる。俊英の第一作品集!

著者等紹介

櫻木みわ[サクラキミワ]
福岡県生まれ。大学卒業後、タイの現地出版社に勤務。日本人向けフリーペーパーの編集長を務める。その後、東ティモール、フランス、インドネシアなどに滞在し、帰国。2016年、「ゲンロン大森望SF創作講座」を受講。第1回ゲンロンSF新人賞の最終候補に選出され、『うつくしい繭』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こーた

201
東ティモール、ラオス、南インド、九州南西諸島。それぞれの国と地域を、四つの物語が繋ぐ。過去の〈声〉に耳を傾けると、はじめは細く短かった〈記憶〉の糸は、次第に長く太くなって、やがてはアジアの国々を繋ぐ大シルクロードとなる。蚕の吐き出す糸の紡ぐ物語は、わたしたちの内側に眠る記憶まで喚び醒まして、うつくしい繭のなかにその物語を閉じ込める。よかったのは表題作と「マグネティック・ジャーニー」。「夏光結晶」はやや荒削りか。今度は短編ではなく、もっと壮大な物語も期待したい。この書き手ならば大長編もきっと書けるはずだ。2019/05/13

ネギっ子gen

59
【そのときのことをすっかり忘れてしまうなら、大人になることに何の意味があるのだろう?】SF的世界を舞台に、記憶に関するエッセンスが詰まった、カバー装画の白さが好印象な4編。素敵な記述にたくさん出逢えた。とりわけ、表題作「うつくしい繭」に沁みる文章多し。佳品。<繭から出たばかりのカイコ蛾のように弱々しい足取りだが、私は自分から、その時間へと進んで行ける。何があっても、自分の大切なものを大切にすることができる。どんなことからも何とかしぶとく恢復してきた、たくさんの生の記憶が、自分のなかにあるはずだった>。⇒2023/05/06

星群

58
初読み作家さん。〝毒があっても、まちがえることがあってもかまわない。いつでも自分に立ち返ればいいのです。〟静寂な空間で良い意味で、背筋がピンっと伸びる様な感覚になる文章だった。また不思議な雰囲気をもった作家さんに出逢えた。話は其々独立してるけど、か細く繋がっている世界観が好き。『夏光結晶』が不思議で印象的。2023/02/27

カノコ

55
東ティモール、ラオス、南インド、日本の南西諸島。実際に世界の様々な場所に降り立ったような気にさせる、彩度の高い作品集。土の、緑の、雨の、香辛料の、強く濃い匂いがページから立ち上がっている。とにかく、文章がいい。極彩色なのに目が痛くなく、五感をくすぐる透明度の高い言葉が、心を震わせ、身体に染み入る。"死者の声"が聞こえる貧しい少女の選択を描いた「苦い花と甘い花」で打ちのめされ、何かに導かれたようにインドを訪れた女性の「マグネティック・ジャーニー」の描写に意味もなく泣きそうになる。とんでもなく好き。2019/05/12

papapapapal

52
読後、物語たちが持つ力強さにしばし呆然。異国情緒とファンタジー要素が上手く絡まり合い、そんなこともあるかと納得させられる。ラオスの山奥で自分自身の過去を観る表題作『うつくしい繭』と、謎のメモに導かれ南インドに滞在する友人を訪ねる『マグネティック・ジャーニー』が特に良き。アジアの色使いや森と海と町の匂い、味、極寒のシベリアの身を刺すような冷気を強く感じる。たくさんの人々の想いや歴史が積み重なって、その上の「今」を生かされている私たちの神秘を思った。櫻木さん、これがデビュー作とは驚き。2023/02/19

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