内容説明
第52回メフィスト賞作家が仕掛ける“友情”という名のワナ。全寮制女子校で次々と起こる事件。その先にあるものとは。
著者等紹介
宮西真冬[ミヤニシマフユ]
1984年山口県生まれ。2017年に第52回メフィスト賞受賞作『誰かが見ている』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
206
全寮制の女子高が舞台。高3がマザー高1がチャイルドという制度の下でルームメイトとなった4人。それぞれの抱えている闇は実は私たちがかつて経験したことがある事なのかもしれない。表に現れないだけで心の中は嫉妬や羨望が渦を巻き、束縛された暮らしの中で渇望する幸せに手は届かない。満たされぬ気持ちを消化出来ぬまま大人になったのは母親だったのか。同じ生き方はしたくない。そうだ、皆自分の人生を生きるのだ。自分の幸せは自分で掴むがいい。上辺だけのルームメイトが今、真実の友になった。2019/05/12
🐾Yoko Omoto🐾
168
全寮制の女子高で同室になった四人の少女たち。帰る場所がない、全てをコントロールする母親から逃れたい、狭い村社会で我が子の実力を過剰に評価する親から離れたい、高圧的な言動で他人を傷つける大人を許せない、彼女らが抱える鬱屈は多感な年頃ゆえの深刻さを孕んでいる。変わりたいと渇望しながらも変われない自分を呪い、自分には無いものを持つ他人を羨み、見えない棘に傷つき続ける姿には、共感どころも多くヒリヒリさせられた。他者との関わりを通じて得る気付き、それこそが人を大きく成長させていくのだと、清々しい余韻が残る佳作。2019/09/08
machi☺︎︎゛
156
最近ハマっている宮西さんの3冊目。全寮制の高校の同じ部屋の4人の女の子の話。友達やライバルに対する妬みや嫉妬や憧れ、家族に対する憂鬱や束縛や嫌悪感。みんなそれぞれが表面には見えない悩みを持っていて高校生らしい考え方に懐かしさを覚えた。でもやっぱり女子は面倒くさいなーと思った。タイトルが未満じゃなくて未遂というのがギリギリ感を味わえて良かった。2021/07/08
ごみごみ
146
全寮制の女子高が舞台。伝統と格式のあるこの学園の寄宿舎で次々に起こる事件。嫉妬、挫折、家族の問題、様々な問題を抱えた4人のルームメート。4章までがそれぞれの目線で描かれ、5章から交わっていく。寝食を共にした4人がある事件を通して自分の人生と向き合っていく。終章ではこの事件をどう着地させるのか?気になってグイグイ読まされる。自分の幸せは、自分で掴むもの。それぞれの道へ大きく羽ばたいて行けますように。2019/06/09
モルク
145
美術系の学科もある全寮制の女子高が舞台。ここでは3年生が1年生とペアになっていろいろ教えるマザー制度がある。そのルームメイト四人が主人公。彼女たちはそれぞれに家庭の事情があり悩みを抱える。狭い社会のなかで彼女たちの自立を妨げる親や教師。そしてわきあがる復讐の念、そのためには共犯者ともなり手段は選ばない。どんなにどろどろしたものになるかと思いきや、ラストはすっきり清々しささえある。彼女たちの成長と新たな信頼関係を築く予感に満ちたものになっていた。2020/02/09