内容説明
中学教師、秋葉が赴任した学校は、いじめも少なく問題を起こす生徒もいないが、長期欠席の生徒数が増え続けていた。元気だった演劇部員の一人が急に不登校になったことに違和感をおぼえる秋葉は、背後に生徒の「自警団」がいると耳にする。姿は見えず絶大な力を持つ、そのグループの実態と真意に、秋葉は迫れるか。衝撃の学校小説。
著者等紹介
薬丸岳[ヤクマルガク]
1969年兵庫県明石市生まれ。駒澤大学高等学校卒業。2005年、『天使のナイフ』(講談社文庫)で第51回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞、2017年、「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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三代目 びあだいまおう
300
『ガーディアン』守護者を意味する。率直に述べると前半とにかく読みづらい。登場人物が多くしかも名字と名前が入り乱れてついて行けない。でも読ませる!さすがは薬丸先生!中学校に蔓延る様々な暗雲。親や教師に解決の術はない。なぜ?大人に隠すように蔓延っているから!自分達を、かけがえのない中学生活を守るためにガーディアンは生まれた。悪には制裁を!学校に平穏が訪れた。怖い。このガーディアン、かなり有効な手段と思う。だからこそ怖い。率直に思う。いじめや無視って、ホントに貴方のためになるの?リアルであってほしくない‼️🙇2020/05/27
イアン
156
★★★★★☆☆☆☆☆中学校を舞台とした薬丸岳の社会派サスペンス。英語教師の秋葉は新たに赴任した学校の雰囲気に違和感を覚える。問題児が少なく平穏に見える一方で、突如登校拒否に陥る生徒たち。その裏には〝ガーディアン〟と呼ばれる謎の自警団の存在があった…。総勢13名の視点から教育のあり方を問う問題作だが、登場人物の多さ故に脳内で整理しきれず、ガーディアンのメンバーが明かされた際の衝撃度を欠いた感は否めない。著者初の人の死なない(殺されない)ミステリだが、やはり薬丸岳には心震えるような慟哭の物語を期待してしまう。2024/05/11
utinopoti27
129
いじめ、不登校、校内暴力と、収まる気配のない学校の荒廃化。激務にあえぐ教師は余裕を失くし、生徒との溝は深まるばかり。本作は、そんな中学校で、生徒自らが組織した自警団「ガーディアン」の実態を通して、教育現場の闇に切り込みます。問題行動に制裁を加えるガーディアンの校内浄化活動は、目覚ましい効果を発揮する一方で、絶対的な力を得た組織は・・。お互い心を開きあう関係など望むべくもなく、静観を決め込む教師を責めるのは酷な気もする。読みごたえはあるが、難しい問題だけに、最後までスッキリとはいかなかった印象は残る。2019/06/20
アッシュ姉
99
「ガーディアン」によって平和が保たれている中学校。その存在は正義か否か。首謀者は誰か。ミステリーとしては分かりやすいものの、テーマは難しく考えさせられる。登場人物が多くて行きつ戻りつしていたが、すべて把握するのを諦めた途端に読みやすくなった。さすがのリーダビリティだが、自分の中で明確な答えが出ない分すっきりはしない。あの方のサプライズ登場が嬉しかった。来週発売の文庫『刑事の怒り』がますます楽しみ。2020/03/02
hit4papa
98
中学校の生徒たちを裏で統制する自警団グループ「ガーディアン」。「ガーディアン」は、学校に害をなす生徒たちを不登校に追い込み、学校生活に平穏をもたらしていた。生徒たちが「ガーディアン」の存在をひた隠しにするため公になることはない。歪な平和に気づいた教師は、秘密に迫ろうとして自身がターゲットになってしまうのだった…。メンバーは一部早々に明らかになるものの、彼らの指示が日本人の同調圧力を喚起し、大きな力になってしまうのが恐ろしい。これはユートピアなのか。テーマとして面白いのですが、答えの出し方に不満が残ります。2023/04/25
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