出版社内容情報
近代社会で最重要の価値〈自由〉は、現代に至り拡大しているように見えるのに、なぜわれわれは息苦しく感じるのかを問う本質的論考。まず、自由についての思弁的、また社会学的な探究が進められる。
やがて、現代社会における自由の本質的な困難が明らかになる。
そこで、自由を自由たらしめている要因の原点まで遡ることで、
〈自由〉が蘇生する可能性が示される。
なんと、他者の存在こそが〈自由〉の本来的な構成要因なのである。
つまり、〈自由〉とは、他者との共存、
つまり〈公共性〉という問題へと展開されうるものなのである。
目次
1 自由と時間
開封前に舌打ちするひと/祈りの時間性/二つの名前/触るとき/男と女
2 現代社会における自由の困難
消極的自由/積極的契機の追補/蓋然性について/江夏の「この一球」と予期の階級的構成/資本の原理/不確実性を裏打ちする確実性/そして知っている者はどこにもいなくなった/リベラリズムの不可避の変質/回帰する超越性
3 記憶の困難
私は伝送された?/分身/スキゾは本当にやってきた/記憶の困難/死の欲動
4 もうひとつの〈自由〉
キリストの贖罪/〈自由〉のもう一つの可能性へ/不確定性の効用/マゾヒズム的転回/〈公共性〉に向けて
補遺 自由意志と因果関係
大澤 真幸[オオサワ マサチ]
著・文・その他
内容説明
自由とは何か?自由と因果関係とはどう関連するか?の探究から考察は始まる。この問いは抽象的なものに思えるが、すぐにアクチュアルな社会的課題だとわかる。現代社会で個人に与えられた自由の領域は拡大しつつあるように見えるのに、閉塞感が高じるのはなぜなのか、と。他者との共存を可能とすべく自由をあらためて概念化することで“自由”の本質を明らかにする画期的論考。
目次
1 自由と時間(開封前に舌打ちするひと;祈りの時間性 ほか)
2 現代社会における自由の困難(消極的自由;積極的契機の追補 ほか)
3 記憶の困難(私は伝送された?;分身 ほか)
4 もうひとつの“自由”(キリストの贖罪;“自由”のもうひとつの可能性へ ほか)
補遺 自由意志と因果関係(サイボーグ化した身体と哲学的問い;量子力学は自由意志を救出するか? ほか)
著者等紹介
大澤真幸[オオサワマサチ]
1958・10・15~。社会学者。長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。1990年、『行為の代数学 スペンサー=ブラウンから社会システム論へ』で東京大学社会学博士の学位を取得。その後、千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任。2007年、『ナショナリズムの由来』で毎日出版文化賞受賞。10年、個人思想誌『大澤真幸THINKING「O」』の刊行を開始。12年、『ふしぎなキリスト教』(橋爪大三郎との共著)で新書大賞受賞。15年、『自由という牢獄 責任・公共性・資本主義』で河合隼雄学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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- 和書
- Nude of J.