- ホーム
- > 和書
- > エンターテイメント
- > TV映画タレント・ミュージシャン
- > ミュージシャンの本
内容説明
日本語の先にある「日本」に迫る、厳選詞集対訳50作品。井上陽水、デビュー50周年。初めて評論で明かす、歌詞に込めた“目論見”。
目次
第1章 時を彷徨う中で(震災、鳴子温泉ブッククラブ;博多、陽水の曲へ;入院、命の静止点に始まる ほか)
第2章 余白に気をつけろ(時の設え;鳥を逃した;愛 ほか)
第3章 井上陽水英訳詞集(Endless Desire 限りない欲望;If We Could Live Life Again 人生が二度あれば;Rupture 断絶 ほか)
著者等紹介
キャンベル,ロバート[キャンベル,ロバート] [Campbell,Robert]
日本文学研究者。国文学研究資料館館長。東京大学名誉教授。ニューヨーク市生まれ。カリフォルニア大学バークレー校卒業。ハーバード大学大学院東アジア言語文化学科博士課程修了、文学博士。1985年に九州大学文学部研究生として来日。専門は近世・近代の日本文学。とくに江戸後期~明治前半の漢文学に関連の深い文芸ジャンル、芸術、メディア、思想などに関心を寄せている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
なる
37
邦楽のシンガーソングライターの中で、歌詞の意味を理解するのがいちばん難しい人だと個人的に思っている。あれだけ平易な言葉で、でも表面上でだけでは真意が理解できない、そんな日本語のトリックスターの歌詞をストレートな英訳にするというなんともチャレンジブルな試みをロバート・キャンベル御大が行う。とは言いながらロバ氏、井上陽水の言葉をとても丁寧に理解して読み解いていて、本人ともしっかり対話しながらそのニュアンスの妙を取り入れるのにとても苦心しながら作り上げている。その真摯な姿勢や、井上陽水論とも言える内容は刺激的。2020/07/30
aloha0307
30
陽水さんの楽曲は確かに”生と死を湛え、虚実の皮膜の間”にいるようで最も英語に訳しづらいと思っていましたが、キャンベルさんはそのニュアンスまで見事に表出してくれました✿ 夕立♬ は、夕立のまさにその瞬間に投げ込まれたようです。傘がない♬ 陽水さんは、主語は”I:私” を「それは違う」と断固主張され、人類の傘のイメージだそうです。いっそセレナーデ♬は a just_so serenade。いっそ と soを掛けてます(旨い!)盟友ユーミンは「井上陽水はうなぎである」と喩えた。言い得て妙だなあ✿✿2020/02/21
くさてる
26
ロバート・キャンベルによる井上陽水の英訳詩集。といってもただ訳詞が並んでいるのではなく、それらの詩を訳すにあたっての考えや詩の解釈、選曲されたものに限定しない井上陽水の楽曲についてまで語られています。わたしはそれほど熱心に陽水を聞いてはいないものの、その歌詞が英訳される過程で通り過ぎる解釈の豊かさがすごく面白いと思いました。曲を聞きながらだとさらに良かったです。2019/08/24
Shimaneko
24
日英翻訳の微妙なニュアンス差や訳語選びの葛藤過程を、英語ネイティブの視点なのに日本語で読めるという超不思議な良書。キャンベルさん、素敵♡2020/04/29
コンチャン
22
ただでさえわかりにくい(?)井上陽水さんの歌詞を、そこから英訳するというロバート・キャンベルさんの努力の跡が確かに感じられます。ただひとつの言葉をとっても、誰が誰に対して向けた言葉なのかを掘り下げていく作業など、かなりの労力があったことが窺えて、とても面白く読みました。そして、そのあとでそれらの曲を聴くと、また染みます。2019/10/14