出版社内容情報
安藤 礼二[アンドウ レイジ]
著・文・その他
内容説明
東西の宗教・思想をつなぐカギがここにある!宗教における霊性を究めてアジアを超えた「知の巨人」の全貌。仏教という多面的な思想を西洋哲学の伝統と釣り合うほどに―西田幾多郎とともに歩み、ジョン・ケージにまで影響を与えた鈴木大拙の思索の跡をたどり、その全体像を解き明かす。
目次
第1章 インド
第2章 アメリカ
第3章 スエデンボルグ
第4章 ビアトリスと西田幾多郎
第5章 戦争と霊性
第6章 華厳
第7章 禅
第8章 芸術
著者等紹介
安藤礼二[アンドウレイジ]
1967年、東京都生まれ。文芸評論家、多摩美術大学美術学部教授。東京大学客員教授。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代は考古学を専攻し、出版社の編集者を経て、2002年「神々の闘争―折口信夫論」で群像新人文学賞評論部門優秀作を受賞、批評家としての活動をはじめる。2006年、『神々の闘争折口信夫論』(講談社)で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。2009年、『光の曼陀羅日本文学論』(同)で第江健三郎賞と伊藤整文学賞を受賞。2015年、『折口信夫』でサントリー学芸賞と角川財団学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あっきー
12
✴4 再読なのだがすっかり内容を忘れていたので面白かった、大拙の初期の翻訳の「仏陀と福音」は仏陀とイエスを重ねていて、その著者である米国の師匠のケーラスはショーペンハウアーから影響を受けた人だった、大拙は妻の師匠だったジェームスの純粋経験を西田に伝え「善の研究」もショーペンハウアーの影響が大きかった、最近「意志と表象としての世界」を読んだので影響の大きさというか元ネタはこれやろ感が頭から離れない、後半の大乗仏教(如来蔵)と禅の関係は今の自分の関心事にドンピシャだった2019/11/05
あっきー
11
✴3 鈴木大拙は「禅と日本文化」しか読めていない、他に3冊程が挫折して積んである、でも元ネタの周辺の宗教思想と書かれた作品の背景も分かってきたので今度こそ読めそうな気がしている、ウィリアムジェイムズ、ウィリアムブレイク、南方熊楠や岡倉天心、柳宗悦などいろんな人が登場するし、登場人物へ興味が広がっていく感じがコリンウィルソンのアウトサイダーと似ている2019/05/05
マウンテンゴリラ
3
宗教を出発点とし、哲学、政治、芸術とあらゆる分野の近現代における思想に影響を与えた人物。それが本書によってもたらされた新たな巨人・鈴木大拙への認識であった。何といってもその最大の功績は、宗教、思想の一元化を仏教を中心とした東洋的視点から模索し、即非の論理という形で理論化したことだろう。それが、専門的、学問的、世界的にどのように受け取られているのか、我々素人には分からないし、その判断材料もない。しかし、世界で認められた仏教哲学者であり、最も著名な日本人思想家であることは間違いなく、→(2)2020/02/08
kentaro mori
3
鈴木大拙の名を知ったのは、禅ではなく、ジョンケージから、という自分ではあるが、大拙の思想の変遷、影響がまとめられている。とはいえ、「華厳」の章は記憶が飛んでしまったのでいつか再チャレンジしたい。西田、宗悦、ケージ、折口、井筒、、、という最近興味のある人物全てに関わるキーパーソンとして大拙がいる。大拙は禅のみにあらず。⚫️「それは無限の可能性に満たされたゼロであり、無尽蔵の内容をもった空虚である」2018/12/09
でろり~ん
1
いつでも真摯に調べられたことが感じられて好印象の著者ですが、この本も良書でした。ただ、雑然とした感想ではありました。帯には「折口の次は、大拙だ」とあります。アホか! 売らんかなという思いからなのかもしれませんが、折口に対しても大拙に対しても冒涜になりゃあしませんかね。ま、内容に関係することではないのですが。ブラックホールの実在が確認されたばかりの現在ですが、人類にとっての宇宙感が変容していく中、ブラフマンをこれまでの空間としていていいのかな、と思います。太陽系の広がりしか持っていないように感じますけどね。2019/04/16