出版社内容情報
総括と称して同志を次々に手にかけてしまった赤色連盟。暴力と狂気の現場を山本直樹が容赦なく描ききる、『最後の60日』編最終巻!1971年、日本で革命を目指す赤色軍と革命者連盟は急接近し、『赤色連盟』を結成。銃を手にした彼らは山岳にアジトを築き、メンバーが続々と集結する。しかし、そこで展開されたのは革命への行動ではなく、『総括』と称した、各自の過去の言動に対する自己批判、相互批判の応酬であった。総括要求は次第に暴力へとエスカレートし、『総括して立派な革命戦士になる』というテーゼの前に力尽きる同志たち。総括とは一体何なのか?先鋭化し、孤立した革命運動の行く末は?山本直樹がクールに描く、『あさま山荘』直前の60日間の物語。
1972年1月、革命を目指していたはずの赤色連盟は、極寒の山岳ベースに集結し、『総括』と称する同志への激しい暴力的追求に明け暮れていた。一人また一人と力尽き、こと切れていく仲間たち。恋人や、自分の子供を身ごもった女性までもを総括にかけてしまう不条理。そして次第に狭まる警察の包囲網。追い込まれた組織はどのように瓦解し、どこへ向かうのか?『最後の60日』編完結、そしてあさま山荘へ!
山本 直樹[ヤマモト ナオキ]
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
34
「私死ぬの? ここどこ? 私死ぬのかな 死にたくない 革命のための死? いやだ 死にたくない」総括を要求され、雪の降る迦葉ベース外の柱に縛られる白根の心の内が語られる。『レッド』は、生き残った連赤メンバーの手記をもとに描かれている。ゆえに死者の内面は極力語られることがなかった。そこを語るのは、作者の傲慢になるからだ。しかし、白根の心の内をあえて山本直樹が描こうとしたのは、白根のモデルとなっている大槻節子が生前に日記を残していることが大きい。(つづく)2017/02/24
くさてる
28
第二部完結。ようやく狂気の山岳ベースでの展開が終わり、あさま山荘へと話が進むのだけど、ほんとうにつらかった。この閉塞感と狂気の怖さ、追い詰められ感はちょっとまともに読めない。しかしそれでも読み続けたのは、そのなかにいるひとにわずかに垣間見える人間性や、かれらが普通の青年であることが分かることだった。人間社会のどの場面でも起きることだと思いたくないけれど、おそらく起きることなんだろう。この話がどの地平にたどり着くのかは事実関係だけは分かるけれど「レッド」という物語の終結を見届けたいです。2017/04/09
アズル
19
レッド 2部 完結。北と赤城が逮捕。谷川が総括(というか、集団リンチ)について疑問を感じていることが人間的に救いがあります。北、やっぱり狂っています。これから、残党9名があさま山荘への道に進んでいきます。岩木がはやく逮捕されて、狂気の世界から脱却してほしいです。2017/06/20
モルテン
18
理不尽な死、としかいいようが無い。けれど、当時、彼らの間では、この行動(山小屋にこもって武力闘争の準備)や仲間の死は当然であり、未来ある行動として受け止めていたんだろうか。現在の私は、彼らの行動は失敗し、どうしようもない結果になることを知っている。それを知らない当時の若者にとって「総括できずに死ぬ」ことは理不尽なことではなかったのだろうか。2017/07/16
kei-zu
11
警察から逃れるため、山の尾根を伝って奥に逃げ込んでいく登場人物たち。 彼ら彼女らが追いつめられるのは、警察によってだけではない。精神の閉鎖とでも呼ばれるべき迷宮に追い込まれる様子は、ベトナム戦争を描いた「地獄の黙示録」の道行きのようでもある。 シリーズ第2部のタイトルは、「最後の60日 そしてあさま山荘へ」。最終巻の本書で、あさま山荘への到着は間もなくだ。2021/04/03