内容説明
かつて、多くの人々が暮らしていた町は、少年ロボットのオメガと、彼を創った宇布美だけになっていた。やがて、一人ぼっちになってしまったオメガは、美味しいコーヒーで訪れる人をもてなすロボットが住むという、東の国を目指す。そして、少年はようやく「カフェ・アルファ」にたどり着いたのだが…。原作から更なる時を経た未来を舞台に、少年オメガが、アルファの記憶を通して、世界を見て、歩く旅―もう一つの『ヨコハマ買い出し紀行』が扉を開く。コミックス未収録の短編『峠』を収録。
著者等紹介
香月照葉[カツキテリハ]
大阪府出身。1973年生まれ。京都大学工学部卒業、同大学院修了。2007年「日本ホラー小説大賞」最終候補作となる
芦奈野ひとし[アシナノヒトシ]
神奈川県横須賀市出身。1963年生まれ。1994年4月、アフタヌーン四季賞春のコンテストで、『ヨコハマ買い出し紀行』が四季賞を受賞しデビュー。この作品が連載化され、2006年3月に連載終了、代表作となっている(全14巻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黑春
7
好きな漫画のノベライズ版。 原作の漫画に比べ登場人物が絞り込まれているが、その分キャラクターの内面が深く書き込まれている。 緩やかに美しく滅んでいく世界で、ロボットと人の間にある苦悩や孤独がメインの話。 個人的にはとても好き。2021/07/23
Yoshiyuki Kobuna
5
ノベライズはあくまでも主人公オメガの物語ということなのだろう。原作そのままの世界線ではないかたち。2020/03/23
ウイロヲ
2
ヨコハマシリーズで唯一具体的に「死」や「夕凪の時代」について踏み込んだ、貴重な作品。
ぷないぷない
1
原作好きだと賛否が別れそうな内容。マンガでは曖昧だった人物の心情が、文章で明らかになってる。んだけど、重要な登場人物は削除されてて、話の流れも本編とは矛盾する部分が目立つ。Aシリーズ開発の経緯やその目的、ターポンの正体も、あくまで解釈例の1つとして明言されてる。その過程で、原作では読者の想像でしかなかったエグイ話がちらほらと。終わり方は、すんなりしてるけど、それは矛盾と登場人物の少なさのせいかな。改めて、素晴らしいマンガだったんだなって思う。賛否は分かれるだろうけど、アルファさんの魅力的な個性は伝わる一冊2013/07/08
kuro
1
ヨコハマ買い出し紀行のノベライズだが、漫画版を特徴づけていた温かくて、家庭的な雰囲気が好きな人は読むべきではない。というのも本作は夕凪の時代が過ぎ去り、人間が死に絶えた人の夜が舞台なのだ。 地上最後のロボット”オメガ”は遠い昔に機能停止したアルファ型ロボット・初瀬野アルファの亡骸を発見し、彼女の記憶を読みだして、夕凪の時代を回想する―― シリアスなストーリーだが、ヨコハマ世界の舞台裏、例えばターポンの秘密、アルファの使命、ミサゴの正体が明示されるので、興味のある人は読んでも損はしないと思う