内容説明
藤岡弘の不慮の事故によって、佐々木剛がキャスティングされ、2号ライダーが誕生したのは、本書を手にしている方には、もはや説明不要の有名事だろう。この事例によって、仮面ライダーは複数化を余儀なくされた。もちろん、それを否定する気は毛頭ないのだけど、この小説は、藤岡弘が事故を起こしていない可能性に基づいて書かれている。
著者等紹介
和智正喜[ワチマサキ]
1964年、東京都出身。小説家。「センチメンタル・ハイ」(’89年)でデビュー。代表作として「空飛ぶ!竜峰学園」(’93年~)「銀の腕輪のユーリ」(’94年~)「カラーズ」(’94年~)など。小説執筆の傍ら、テレビゲームの企画、シナリオ執筆も行う
大畑晃一[オオハタコウイチ]
1962年、愛知県出身。TVアニメ「超高速ガルビオン」(’83年)でメカデザイナーとして独立後、OVA「装鬼兵MDガイスト」(’89年)等、自身の原案・デザインによる監督作品を発表。アニメーションキャラクターイラストの分野で様々な作品に関わる一方、実写、CG作品のディレクションも手掛ける。現アミューズメントメディア総合学院CG科ビジュアルデザイン講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真月 洋々
4
もう一つの仮面ライダーといって人に勧めることを躊躇しない本の一つ。仮面ライダーというテーマの原点を中心に据え、そこに時代感がよくマッチしている。昭和の高度成長期、スイッチ、大使、大佐。余すところなく、時代とテーマを引き立てている。異形のヒーローのあるべき姿だと思う。2012/11/13
びぎR
3
登場人物の名前は踏襲しているものの、ほぼオリジナルな小説版。SF的な設定で仮面ライダーの世界を描く。ショッカーの改造人間なのに仮面ライダーだけが「なせ圧倒的に強いのか?」「姿かたちがヒーロー然としているのか?」などの素朴な疑問に解答を与えている。舞台が1971年ということで物語りに戦争の影が色濃く残っているのも面白い。ショッカーが歴史で果たした役割は意外と有意義で実は正義の組織?の感も… 大使、博士、蛇姫など回収されていないキャラクターも多く、続編もあるので出来れば読みたい。2019/11/25
やきなす
3
仮面ライダーのストーリーラインをひとつ選べといわれればこの一冊を選ぶ。人ではなくなってしまった悲哀、ヒーローとしての使命の見出し方、その孤独さ。そこぬけにいいヤツのハヤト。ショッカー側として描かれる、<大使><大佐>の味わいの深さ。背景をあえて昭和に合わせた工夫もいい。本郷猛は昭和のヒーローだ、そういう時代性なのだと思う。あと、若干ネタバレだが、大佐の正体?がすばらしい。開示されるシーンがかっこよかった。2012/01/12
ポロろっか
2
シン公開時に知り、気になっていた。今では入手が難しい本作だが友人の厚意で読ませてもらった。 もしも藤岡弘、氏が怪我をせず、2号が登場せずに仮面ライダーが一人でショッカーと戦い続けていたら?というイフでもあり、シンのようにショッカーやライダーというものの存在にリアリティを持たせたようなストーリー。 1971ではまさにライダーの誕生を描いており、本郷猛が力を得て、悲しみ、苦しみながらも"仮面ライダー"となるまでがクライマックス。シンにも通ずるものがあり、胸が熱くなる作品だった。2023/10/31
KURO
2
仮面ライダーを扱ったあらゆる創作物の中で五指に入る名作。ハヤト対飛蝗男、仮面ライダー対金色狼は是非映像で見てみたい(十中八九アニメでないと再現不可能だが)。楠木美代子や本郷の姉といったオリジナルキャラが違和感なく世界観にはまるのも見事。ラストの蟷螂男に力強く名乗りを上げる〈仮面ライダー〉の姿に胸を熱くしないライダーファンは存在しないであろう。2021/10/09