出版社内容情報
古野まほろと峰葉実香が初めてふたりで話したのは、とある夕暮れの教室だった。吹奏楽部員のトランペットが盗まれたと、頼りない同級生に相談する実香。すると彼は、容疑者が誰かをまだ聞かされないうちに、手紙を一通手渡す。犯人がここに書いてある、といいながら。
天帝世界の住人たちが出会う「天帝ゼロ」と、彼らの今を記す「天帝最新」の物語。
内容説明
古野まほろと峰葉実香が初めてふたりで話したのは、とある夕暮れの教室だった。吹奏楽部員のトランペットが盗まれたと、頼りない同級生に相談する実香。すると彼は、容疑者が誰かをまだ聞かされないうちに、手紙を一通手渡す。犯人がここに書いてある、といいながら。天帝世界の住人たちが出会う「天帝ゼロ」と、彼らの今を記す「天帝最新」の物語。
著者等紹介
古野まほろ[フルノマホロ]
東京大学法学部卒業。リヨン第三大学法学部第三段階「Droit et Politique de la S´ecurit´e」専攻修士課程修了。警察庁1種警察官として、交番、警察署、警察本部、海外、警察庁等で勤務の後、警察大学校主任教授にて退官。2007年、『天帝のはしたなき果実』で第35回メフィスト賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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buchipanda3
26
こちらも楽しく読めた。天帝シリーズのキャラたちの出会いの物語など。初篇は古野まほろが散々な言われよう(茹でコアラ君)で少々不穏な雰囲気で始まるが、謎解きになってからは一変、お見事。最小限の情報で速攻の論理的解明。公理と真相を手紙に書いて渡す演出が心にくい。単に恥ずかしがり屋なだけかもしれないけど。あと最後の会話の場面がいい。2篇目は緊迫の中であっても冷静に論理的に詰める所が得も言えぬ感じ。4篇目はとある一言から始まる論理的思考ゲーム。終盤の二転三転を楽しめた。そして栄子のアンコール篇で笑いながら締めた。2017/12/10
geshi
23
天帝シリーズの登場人物たちの出会いを描く短編集。『古野まほろ~』実香のまほ評価の低さに笑う。ささやかなものから論理を紡ぐ煌めきを知るTHE青春。『修野子爵~』極限シチュエーションの中でも手掛かりを見出しロジックを組み上げる。百合青春のかほり。『栄子と~』この作者が叙述トリックっぽいことやるのか。『あとは両替~』たった一言が犯罪行為に結びつく論理のアクロバット遊戯。次作への橋渡しもあってファン垂涎。しかしアンコールの「作家とtwitterっていうのも難しいわね…」が作者本人に返ってくるとは(笑)。2017/12/30
TAMA
19
2017年111冊目かつ登録1999冊目。天帝シリーズ前日譚の短編集。この作品を通じて更に色々な作品とリンクするから、またそれぞれのシリーズを読み直すのが良いかも。2017/12/21
さくりや
12
再読。ああ凄く好き。衒学が過ぎるとか厨二病だとか偉ぶっていても所詮ラノベだとか言われようが天帝シリーズが好きだ。特に「古野まほろ、実香と出会う」。正直言って今までうざったい語り手だった「僕」の人間味が一気に増し、浮世離れした衒学趣味の鬱病患者から「クラスに1人はいたこんな子」になり読者との距離がぐっと縮まる。あの、続きも、待っています……。柏木もっと。2019/06/01
鳩羽
12
峰葉実香が、暗そうで対人恐怖症気味の同じホルンパートの古野まほろと話すようになったのは、同じ吹奏楽部のトランペットひびきの楽器が強奪された事件がきっかけだった。他にも修野まりと峰葉、穴井戸栄子と奥平など、天帝シリーズの面々の出会いと結びつきが深まっていくエピソードを集めた短編集。この面子のなかでは普通の人に思えていた峰葉が意外とぶっとんだ思考と行動力の持主だったり、栄子の純なところが見えたりと、面白さだけでなくお得感もある。果実から10年というのが一番の驚きかもしれない。2018/01/17