講談社文芸文庫Wide
抱擁家族

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  • サイズ 文庫判/ページ数 304p/高さ 17cm
  • 商品コード 9784062955102
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

妻の情事をきっかけに、不気味に音もなく崩壊していく家庭。悲喜劇を繰り返す夫は次第に自己を喪失していく。谷崎潤一郎賞受賞作。「僕たちが外国から受け入れたものは、矛盾をうんでいる。その皺よせは家の中へ来るさ」

妻の情事と病。子供たちの離反。
夫は崩れゆく家庭をつなぎ止めようと、進行する悲劇とは裏腹に喜劇を演じ続ける。
鬼才の文名を決定づけた、戦後文学の金字塔。

小島 信夫[コジマ ノブオ]
小島信夫(1915.2.28?2006.10.26) 小説家。岐阜県生まれ。1941年、東京帝大文学部英文科卒。岐阜中学、第一高等学校時代から創作を始め、東大時代には同人誌「崖」を刊行。大学卒業の年に徴兵検査を受け、翌年入隊。中国で暗号兵として過ごす。46年、復員。岐阜師範学校に勤務。48年、上京。同人誌「同時代」を刊行。佐原女子高校、小石川高校を経て、54年、明治大学に勤務。55年、「アメリカン・スクール」で芥川賞受賞。57年、米国へ留学。63年、学生結婚した妻を喪い、この経験を、65年、『抱擁家族』へと昇華。翌年、同作で谷崎潤一郎賞受賞。68年から「別れる理由」を「群像」に連載。73年、『私の作家評伝』で芸術選奨文部大臣賞受賞。82年、.『別れる理由』で野間文芸賞受賞。89年、日本芸術院会員となる。94年、文化功労者に選出される。98年、『うるわしき日々』で読売文学賞受賞。99年、郷里に小島信夫文学賞が設立される。主な著書に『小銃』『墓碑銘』『美濃』『月光』『暮坂』『各務原・名古屋・国立』『残光』など。

内容説明

妻の情事をきっかけに、家庭の崩壊は始まった。たて直しを計る健気な夫は、なす術もなく悲喜劇を繰り返し、次第に自己を喪失する。不気味に音もなく解けていく家族の絆。現実に潜む危うさの暗示。時代を超え現代に迫る問題作、「抱擁家族」とは何か。谷崎賞受賞。

著者等紹介

小島信夫[コジマノブオ]
1915・2・28~2006・10・26。小説家。岐阜県生まれ。1941年、東京帝大文学部英文科卒。岐阜中学、第一高等学校時代から創作を始め、東大時代には同人誌「崖」を刊行。大学卒業の年に徴兵検査を受け、翌年入隊。中国で暗号兵として過ごす。46年、復員。岐阜師範学校に勤務。48年、上京。同人誌「同時代」を刊行。佐原女子高校、小石川高校を経て、54年、明治大学に勤務。55年、「アメリカン・スクール」で芥川賞受賞。57年、米国へ留学。63年、学生結婚した妻を喪い、この経験を、65年、『抱擁家族』へと昇華。翌年、同作で谷崎潤一郎賞受賞。68年から「別れる理由」を「群像」に連載。73年、『私の作家評伝1・2』で芸術選奨文部大臣賞受賞。82年、『分かれる理由』で野間文芸賞受賞。89年、日本芸術院会員となる。94年、文化功労者に選出される。98年、『うるわしき日々』で読売文学賞受賞。99年、郷里に小島信夫文学賞が設立される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

masabi

6
「馬」に引き続いて家を建てる妻だった。妻が亡くなった家に他人を率い入れその人に家長のような立ち回りを期待したり、家のために後妻を迎えようとしたりと、夫の俊介の考えに理解に苦しんだ。アメリカ占領期の記憶が色濃かった時期に公開された作品で、アメリカの合理主義と日本の非合理の板挟みになり最後は崩壊する。2025/01/19

ポカホンタス

5
この小説が発表されたのは昭和40年。東海道新幹線が開通し、東京オリンピックが開催された年だ。私は当時3歳だった。この時代に、このようなモダンな小説が書かれていたことに少し驚く。ここに書かれている家族は気持ち良いほどに壊れている。個々人もみな壊れている。それゆえにこそ、深淵が時折顔をのぞかせる。スリリングだが救いのない話を技巧的文章で読ませる力がすごい。2018/11/22

yoyogi kazuo

2
この小説の登場人物たちは皆、ジョージも、みちよも、息子の信一も娘のノリ子も、著者の想像を超えたリアルな〈他者〉として存在している。彼らの発する言葉はいちいち驚くほどのリアリティを放っている。著者は、彼らの内面を〈理解〉しようとはせず、ただ〈ありのまま〉の彼らの振舞いを観察して、それを忠実に、身も蓋もない、つまり文学的情緒のまるで欠けた、直接的な文体で書き取っているだけのように思える。何より、著者自身がモデルである主人公俊介が徹底的に突き放されて描かれている。2021/05/30

Mizuna

1
「戦後文学の金字塔」と言われ、様々な評論が出されている作品だそうですが、登場人物の心情が理解できない部分が多くて序盤はなかなか読み進められず。傍若無人なアメリカ人に対して言いなりのうえ、とことん卑屈な主人公の態度は、戦後から現在に続く日米関係のようでちょっと心が痛くなった。終盤ジョージから「日本とアメリカは仲良くしなければいけない」と言われるところでは、お前には言われたくない、という気持ちになってしまった。2020/08/14

clintwestwood

0
情事を喜劇にしろという時子の言葉→「慎ましい妻」という幻想、家族の役割の崩壊 祈る神の不在→どう危機的状況に折り合いをつけるか 外国の生活様式の受け入れ→家父長制の崩壊 典型的な外国人を前にした日本人を演じてしまう俊介 合理と非合理(アメリカ的と日本的)思考の板挟みになり、絶対的なものを喪失→物理的な「家」がその欠落を埋める→塀を作ろうとする俊介 独特な口ごもるような文体 魔女のような存在で物語の促進剤であるみちよ 山岸とみちよのどちらを追い出すかで迷う俊介→アメリカ(合理)か日本(非合理)に板挟みの俊介2024/05/05

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