内容説明
「先祖代代、片倉家の女は殺される定めだとか。しかも、斬り殺されるんだと云う話でした」昭和29年3月、駒澤野球場周辺で発生した連続通り魔・「昭和の辻斬り事件」。七人目の被害者・片倉ハル子は自らの死を予見するような発言をしていた。ハル子の友人・呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は、怪異と見える事件に不審を覚え解明に乗り出す。百鬼夜行シリーズ最新作。
著者等紹介
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
1963年北海道生まれ。’94年『姑獲鳥の夏』でデビュー。’96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞受賞。この二作を含む「百鬼夜行シリーズ」で人気を博す。’97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、’04年『後巷説百物語』で直木賞、’11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞を受賞。’16年遠野文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
440
京極 夏彦は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。『天狗』に続いて、第一弾の『鬼』、3社横断3カ月連続刊行シリーズコンプリートです。人間の心の中に、鬼が棲んでいるということなんでしょうね。本作に土方歳三が登場するとは思いませんでした。『ヒトごろし』の影響でしょうか? 2019/09/21
さくりや
302
京極夏彦の恐ろしいところはこれが“短編”ということだ。百鬼夜行シリーズは男性陣の活躍が目立つが、敦子と美由紀のコンビ、良いじゃん!『ヒトごろし』を読まなければならないねこれは。えっとそして、『鵺の碑』の舞台は栃木ってことで良いんだよね?中禅寺・榎木津サイドの物語も待って良いんだよね?いや河童と天狗も買うけど。2019/04/19
ポルコ
277
スピンオフ作品といえども、久々に百鬼夜行シリーズを読める喜びを胸に噛み締める。美由紀の勇ましさに大拍手の痛快作。2019/05/01
Richard Thornburg
244
感想:★★★★★ 百鬼夜行シリーズのスピンオフで、今回の主人公は中善寺敦子+『絡新婦の理』の呉美由紀。 タイトルの『鬼』が、まさかそこへ繋がるかよとツッコミを入れたくなるくらい、記憶に新しい作品の『ヒトごろし』に密接に繋がっています。 今回の中心となっている連続辻斬り事件に絡む人物たちの狂気。 犯人の犯行理由も正気ではないのですが、それを庇い立てする人物たちの持つ複数の狂気。 他人に危害を与えない狂気そのものを抱くことは犯罪ではないのかもしれない・・・ 2019/06/04
イトノコ
214
刀を使った連続通り魔事件。最後の被害者は「一族の女は代々刀で斬り殺される因縁」と話していた。敦子と被害者の友人だった呉美由紀が事件を調査する。驚き①美由紀再登場&大活躍。次巻以降もレギュラーのようで楽しみ。②「ヒトごろし」の土方と涼の裏話。確かに幕末と戦後って100年くらいしか離れてないんだな。あと百美人の話は「虚談」だよね。こういうの好きじゃない。③本が薄い。京極作品なら5、600ページでしょと思ったら250ページくらい。感覚的には榎木津や多々羅の短編ひとつくらい。サクッと読めるがやや物足りないな。2019/05/16