出版社内容情報
原田 伊織[ハラダ イオリ]
著・文・その他
内容説明
幕末動乱期ほど、いい加減な美談が歴史としてまかり通る時代はない。京都御所を砲撃し朝敵となった長州を筆頭に、暗殺者集団として日本を闇に陥れた薩長土肥。明治維新とは、日本を近代に導いた無条件の正義なのか?明治維新そのものに疑義を申し立て、この国の「近代」の歩みを徹底的に検証する刮目の書。
目次
第1章 「明治維新」というウソ
第2章 天皇拉致まで企てた長州テロリスト
第3章 吉田松陰と司馬史観の罪
第4章 テロを正当化した「水戸学」の狂気
第5章 二本松・会津の慟哭
第6章 士道の終焉がもたらしたもの
著者等紹介
原田伊織[ハラダイオリ]
作家。歴史評論家。京都市生まれ。大阪外国語大学卒。広告代理店でマーケティング・プランニングや番組企画などに携わり、独立後プランナー、コピーライター、編集ライターとして活躍。JADMA(日本通信販売協会)の設立にも携わる。2005年『夏が逝く瞬間』(河出書房新社)で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むーちゃん
140
なかなかの読みごたえでした。明治維新、官軍(薩長)支持派であり多大な影響を与えてきた司馬遼太郎への真っ向批判、そして反対意見。私も司馬遼太郎ファン、ならびに肥前・佐賀出身ということもあり、明治維新に肯定的であり、そのように認識・影響を受けてきた一人です。ただ、全部は受け入れることはしませんが、あながちこの本の中に書かれてることは正しいなと思いました。 色んな考え方、立場がありますがちょっと刺激をうけ考え方をあらためた部分あります。 2019/08/24
国士舘大学そっくりおじさん・寺
88
悪い方の評判を聞いて読んでみた(笑)。完全増補版という事で、サブタイトルにある吉田松陰の話はごくわずかである。初版はどうなっていたのだろう?。たぶん大河が『花燃ゆ』の際の便乗本のひとつだった筈だ。立花隆が週刊文春の読書日記で取り上げたので売れたのだと思う。失礼を承知で言えば、本当に本が好きな人なら読まない類いの本だと思う(『日本国紀』同様の匂いがする)。吉田松陰の実像とその後の歴史については一坂太郎『吉田松陰190歳』という良書があるのでそちらをお薦めしたい。本書は早乙女貢→中村彰彦の系統の会津礼賛本だ。2019/07/15
キムチ
58
昔、この類の本が好きで結構乱読したのを思いだした。驚くのは断定的ともいう口調。職業は、経歴は・・なんて勘繰るのもの恥ずかしい。作中皮肉られている司馬氏への言葉~「司馬氏は自身の論を種々の作品で述べており共通するのは躊躇することなき断言」タシカニネ でもかなり面白かった。特に東北に過大なる思慕の念を持つ私には知らないことが多々あり、半分眉唾としても愉しめた。水戸、会津、津軽の切々たる描写は涙無くして読めないかも。東電VS福島や文学論としての太宰評価なんて一理あり。バラェティ番組への寸評なぞ今日的。2017/07/03
たかしくん。
47
前々から気になってた本です。感想は。確かに見方が相当に偏ってます。吉田松陰を狂人とし、長州一派はテロリスト、司馬遼太郎はそれを礼賛した一人、はては、水戸光國を大日本史の功績以外はただの暴君等、中々過激な自説が繰り広げられます!勿論、全てが正しいとは思いませんし、著者の言う明治維新を不要だったと決めつけるのは、ちょっと言い過ぎかなぁ?ただ、明治維新をこれまでと別の視点で見直す意義はあると思います。2018/03/18
rico
44
大河ドラマで数年おきに明治維新やってて、続けて見ていると、英雄として描かれていた志士たちが次の作品では悪人に見えたりもする。行動だけに着目すれば、「テロ」といってもおかしくないような事例が山ほど出てくる。「勝てば官軍」これに尽きる。勝者が書いた歴史や物語が、自らの立場を正当性を主張するものになるのは自明のこと。よく知られた「歴史」を、視点を変えて見ることの重要性を改めて認識させられたが、著者の個人的な感情が前面に出すぎてて、辟易してしまう。挑戦的な内容であるほど冷静に淡々と書いて欲しい。 2018/06/17