出版社内容情報
道光帝により欽差大臣に抜擢された林則徐は、広東から全英国人を追放、阿片を厳しく取り締まる。それが引き金となり戦争が勃発する。憂国の士・林則徐が推す阿片厳禁論は動揺する道光帝の心を掴み、彼は地方官吏から欽差大臣に抜擢される。広東に赴いた林は断固たる態度で阿片を取り締まるが、中国進出を諦めない大英帝国は執拗な挑発を繰り返す。そして全英人の広東追放と全ての阿片の没収が引き金となり、戦争が勃発する。(全4巻)
第二部(承前)
逃げた女たち
厳禁論
前ぶれの砲声
ガーデン
第三部
出 発
諭 帖
包 囲
屈 服
阿片は流れる
皇城初夏
ケンブリッジ号
発 端
マカオ退去
九竜の砲火
布 石
川鼻の海戦
狂える潮
断章 III
火 攻
陳 舜臣[チン シュンシン]
著・文・その他
内容説明
憂国の士・林則徐が推す阿片厳禁論は動揺する道光帝の心を掴み、彼は地方官吏から欽差大臣に抜擢される。広東に赴いた林は断固たる態度で阿片を取り締まるが、中国進出を諦めない大英帝国は執拗な挑発を繰り返す。そして全英国人の広東追放と全ての阿片の没収が引き金となり、戦争が勃発する。
著者等紹介
陳舜臣[チンシュンシン]
1924年神戸市に生まれる。大阪外国語学校インド語部卒業。『枯草の根』で江戸川乱歩賞、『青玉獅子香炉』で直木賞、『諸葛孔明』(上・下)で吉川英治文学賞を受賞。2015年1月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
133
皇帝の意向もあり、林則徐は阿片禁止に奔走する。イギリス商船の徹底的阻止。一部の生活必需品を運ぶ船は通されたようで、英阿片王の強欲ぶり、人間性のなさには胸が悪くなるほど。崩れゆく前の大国清の頽廃と停滞の中に入り込んだ阿片。蝕まれる民と国を見て立ち上がる者が出るのは自明。反英のおふれでイギリスはマカオからも立ち退きを迫られる。それが結局イギリスの清への攻撃を後押しする。インドなどからシンガポールへ清攻撃のための船が集結していくくだりは恐ろしい。今は静かな九龍が攻撃を受けたところが頭に浮かび切なくなった。2017/05/06
しんすけ
17
阿片を巡っての思惑が表面化してきたようである。 作者はの視点は、あくまでも登場人物たちの挙動である。西玲、彩蘭(温翰の孫娘)、清琴(黙琴の妹)たちは動乱の世に己の生きる途を見出しているかのようにさえ観える。それは作者の創作かもしれないが、時代の節目にはこのような人物たちが居てもおかしくはない。 政界では厳禁論と弛禁論との対立する見解が擁立している。本館ではそれぞれの立場を明らかになっていく。 清朝政界の有力者は大半が弛禁論である。完全禁止でなく緩い禁止にしておけば賄賂が役人の懐に入ってくる。2020/10/14
シュラフ
14
阿片戦争(1840~1842年)をテーマとした作品。林則徐はつぶやく「英国が出兵すれば、清国は勝てないち分かっていても、ここではっきりと阿片を拒絶する意思を示さねばならない。そのために、たとえ王朝が滅びても、中国人の意気だけは示すべきだった。その意気があってこそ、新しい時代はつくられる。事を回避していては、中国は骨の髄まで腐って、新しい時代を迎える気力まで消滅するだろう。」阿片戦争の結果は一方的だったが、林則徐の毅然とした態度があったからこそ、中国人の気概が今に残る。国家として毅然とした意志は必要である。2024/07/14
BIN
10
2巻は1巻でしっかり登場人物が把握できたせいか、面白く読めました。ついに林則徐により阿片厳禁策が実行され、2万斤もの阿片が破却される。焼くのかなと思ったら、塩水に打ち込むんですね。本巻ではまだ英国の軍艦が少ないので清国が優勢(死傷者は多いが)するものの次巻からは本国の軍艦が到来するのでどう展開されるかは楽しみ。自国では売らないブツを平気で他国に売る英国の倫理観は許せないところではある(同じ人とは思っていないからだろうが)。この期に及んで政権争いで政敵を葬ろうとするのはもう終わってるね、面白いけど。2018/12/02
Tanaka9999
8
第二巻完了。以前に読んだときにはもっと早く阿片戦争が始まった気がしたが、気のせいか。中国への侵略は第二次世界大戦に至るまで帝国主義の強引さ、いやらしさが出ている。守るべき国益とは何か、相手国の尊重とは何かを考えさせられる。2018/09/24