出版社内容情報
ホラーティウス[ホラーティウス]
著・文・その他
高橋 宏幸[タカハシ ヒロユキ]
翻訳
内容説明
古代ローマの詩人クイントゥス・ホラーティウス・フラックス(前六五‐前八年)は、ウェルギリウスと並んでラテン文学の黄金期をもたらした。その代表作である本書はペトラルカやヴォルテールに至る韻文の書簡創作という伝統を創出し、『詩論』と称される第二巻第三歌は独立した著作としても読み継がれた。名手による清新な日本語で甦る不朽の古典。
目次
第1巻(マエケーナース宛;ロッリウス宛;フロールス宛;アルビウス宛;トルクワートゥス宛 ほか)
第2巻(アウグストゥス宛;フロールス宛;ピーソー家の人々宛(『詩論』))
著者等紹介
ホラーティウス[ホラーティウス] [Quintus Horatius Flaccus]
前65‐前8年。古代ローマを代表する詩人。アウグストゥスの時代に生き、ウェルギリウスと並び称される
高橋宏幸[タカハシヒロユキ]
1956年生まれ。京都大学教授。専門は、西洋古典学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゅてふぁん
38
ラテン文学黄金期を支えた詩人ホラーティウスの代表作。何の背景も知らずに興味本位で手に取ってみたけれど、名宛人への書簡だけではなく、テーマが詩作と哲学だったりと難しかったので深く考えずにとりあえず読み切った。第二巻の第三歌『詩論』は解説にあるとおり「へそ曲がり」感が出ていたので読んでいて楽しかった。2023/05/06
rigmarole
10
印象度B+。モンテーニュ『エセー』に引用が多いことから長年読みたいと思っていた本書をついに。時代も場所も現代の日本とは全く違うので、訳注を参照しながら状況を想像して読み進めました。私としては、生を愉しめ、そしてそのために生きよということや、身分相応の暮らしをせよといった、特に人生論に関心を持ちました。都会の人間関係から離れて田舎に生きることを好む「エピクロス派の豚」と自虐的に自称しているあたり、私と志向性や性格が似ているかも。ただ全体としては詩についての話が多く、最後の『詩論』は惰性で読んだ感があります。2024/06/01
刳森伸一
5
全体は2部構成になっていて、各部で形式や内容が異なる。第1部は、教訓を相手に伝えるものが多い。内容的には華奢を慎み知的に生きろというストア的。第2部は詩論が多く、個人的にはこちらの方が面白かった。特に「長大な作品では寝てしまうことも許される」というようなリアリストとしての側面がいい。2018/04/28
無能なガラス屋
3
「私は田舎暮らしが、おまえは都会暮らしが幸せだと言う。他人の境遇を愛する者は、当然、自分の境遇を憎む。どちらも愚か者だ。場所に責任はないのに、不当に非難しているのだから。罪があるのは魂だ。決して自己を脱却できないのだから。」-p702020/10/31
Hotspur
3
モンテーニュの延長。本書は有名な『詩論』が含まれる。ローマ詩の邦訳の味読は難しい。syllabic や metrical の手がかりが何もないので。ただ、小プリニウスやユウェナーリスと併せるとなんとなくミクロのローマの生活が浮かび上がってくるようにも思われる。2020/01/12