出版社内容情報
「私は他者の痛みを感じることはできないか」――この有名な問題を皮切りに、著者がウィトゲンシュタインと切り結ぶ魅惑の哲学!『青色本』と名づけられたのは、1933年から1934年にかけての、ケンブリッジでのウィトゲンシュタインの講義録である。
ウィトゲンシュタインの哲学を、『論理哲学論考』を前期、『哲学探究』を後期と分ければ、その中間に位置し、いわば『哲学探究』に向かう時期の講義にあたる。
ここでは、「他者の痛みは、私には感じられない」という、有名な「痛み」についての議論などが展開され、いわゆる「独我論」が主要テーマになっている。
著者・永井均は、この『青色本』の議論に、一文一文、詳細な検討を加え、解読しながら、さらに、著者の哲学を展開していく。
独我論、私的言語、自他の非対称性といった、哲学の永遠の課題に対して、ウィトゲンシュタインと永井均という、ふたりの哲学者の思考がクロスしながら展開する、きわめてスリリングな一冊といえよう。
さながら、ウィトゲンシュタインvs.永井均という様相を呈しているのである。
1.哲学における達成とは
2.私的体験が素材となって実在が構成されていると言いたい誘惑
3.語は対立項なしに使われえないか
4.ただ私自身の体験だけが実在すると言いたい誘惑
5.だが他人も「まったく同じこと」が言える
6.世界の素材としてのエーテル状の私的体験
7.ウィトゲンシュタイン的独我論
8.ウィトゲンシュタイン的独我論の永井的拡張(付・コウモリだったらどんなかな)
9.私と世界をつなぐすべての出発点
10.「自分の感覚を記述するのに回り道をせざるをえない」……
永井 均[ナガイ ヒトシ]
著・文・その他
内容説明
たとえば、後期ウィトゲンシュタインの代表作『哲学探究』二〇〇番代で主題化される私的言語の問題は、その原基形態が『青色本』の議論にある。後期に向かう哲学的思考の端緒とも言うべき『青色本』を、著者は「天下の奇書」と評しつつも、細部にわたって徹底的に、かつ詳細に考え抜く。そこで見えてくる独我論の相貌とは。渾身の哲学的批判の書。
目次
哲学における達成とは
私的体験が素材となって実在が構成されていると言いたい誘惑
語は対比項なしに使われえないか
ただ私自身の体験だけが実在すると言いたい誘惑
だが他人も「まったく同じこと」が言える
世界の素材としてのエーテル状の私的体験
ウィトゲンシュタイン的独我論
ウィトゲンシュタイン的独我論の永井的拡張(付・コウモリだったらどんなかな)
私と世界をつなぐすべての出発点
「自分の感覚を記述するのに回り道をせざるをえない」〔ほか〕
著者等紹介
永井均[ナガイヒトシ]
1951年生まれ。慶應大学大学院文学研究科博士課程単位取得。日本大学教授。専攻は哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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