講談社学術文庫<br> 儒教―怨念と復讐の宗教

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講談社学術文庫
儒教―怨念と復讐の宗教

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  • サイズ 文庫判/ページ数 320p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062924429
  • NDC分類 124.12
  • Cコード C0110

出版社内容情報

弟子たちにとって最も厄介な書物は『論語』であり、最も困った人物は孔子だった! みじめな男の人生から始まった宗教の、歴史と正体2000年余りにわたって、東アジア、特に中国・韓国の文化と思想に大きな影響を及ぼしてきた「儒教」に、今、関心が集まっている。しかし、「儒学」ではなく「儒教」とはいったいどんな宗教なのか――日本では意外に知られていない。
本書では、学術文庫『諸子百家』や『孫子』などで、中国の古代思想研究者として知られる著者が、儒教という特異な宗教の成り立ちと正体を暴いていく。
わずかな領地も持たず、生涯のほとんどを無位無官で流浪した一介の匹夫・孔子。政界に地位を得て為政に参画せんと野望を抱きながら挫折し、みじめな人生を送ったこの男の妄執が、怨念と復讐の宗教を生んだ。名声では王公を凌いだ、天子にこそなれなかったが功業は堯・舜を凌ぐ――孔子の弟子たちや後世の儒者が執拗に語るほど、そこには「受命なき聖人」の情念が色濃くにじみ出ている。
時に体制擁護のイデオロギーとして利用され、時に革命思想として弾圧されながら、その底に流れるルサンチマンの精神は払拭されることはなかった。そして清朝末期、近代にいたり、変法自強運動の旗手・康有為の手によって「儒教神学」は完成する。「聖人君子の道徳」という従来のイメージを覆す、新視角の儒教論。
[原本『儒教 ルサンチマンの宗教』平凡社新書、1999年刊]


第一章 孔子という男
1 妄想の上昇志向
2 野望と挫折
第二章 受命なき聖人
1 孔子の聖人化
2 『中庸』の孔子聖人説
3 孟子の偽装工作
第三章 まやかしの孔子王朝
1 儒教の暗い情熱
2 春秋学の虚構
3 『孝経』と孔子王朝
第四章 神秘化される孔子
1 緯書の孔子神話
2 国家権力との駆け引き
第五章 孔子、ついに王となる
1 王者への道
2 偽りの王冠
第六章 儒教神学の完成
1 失われた王号
2 偶像の行方
終章   ルサンチマンの宗教
あとがき


浅野 裕一[アサノ ユウイチ]
著・文・その他

内容説明

生涯のほとんどを無位無官で流浪した一介の匹夫・孔子。夢破れた男の妄執が、「受命なき聖人」の神話を生んだ。時に体制擁護のイデオロギーとして利用され、時に苛酷に弾圧されながら、その底に流れるルサンチマンは二千年余りの間、払拭されることはなかった。東アジア世界の精神的紐帯として機能してきた宗教の本質を抉り、そのイメージを一新する。

目次

第1章 孔子という男
第2章 受命なき聖人
第3章 まやかしの孔子王朝
第4章 神秘化される孔子
第5章 孔子、ついに王となる
第6章 儒教神学の完成
終章 ルサンチマンの宗教

著者等紹介

浅野裕一[アサノユウイチ]
1946年仙台市生まれ。東北大学文学部卒業、同大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻は中国哲学。文学博士。東北大学大学院環境科学研究科教授などを経て、東北大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

香菜子(かなこ・Kanako)

34
儒教 怨念と復讐の宗教。浅野裕一先生の著書。儒教はもともと世間から評価されずに蔑まされて馬鹿にされ、世間に対して怨念を持ち復讐したいという強い願望を持っていた孔子によるいわば妄想、被害妄想に基づいて出来たものだなんて、恥ずかしながら初耳でした。儒教というと年長者や目上の人を敬う上下関係に厳格な教えという怨念と復讐とはほど遠いイメージがあったから驚きでした。2018/08/16

Vakira

29
人間がどうやって神を創造したか?神の教えの中には確かに生きる糧となるところはあると思うが、その存在は信じないで今まで生きてしまった。だいたい神が人間型なのが、信憑性を低くしている。犬や猫が教えを説いた方が逆に信じられる。よって人間は何故神を創造したか?は興味あり、神と宗教の関係を理解したい。キリスト教理解のため新約聖書を読み、仏教を知りたくブッダ関連の本を読む。日本の宗教には仏教以外に儒教が絡んでいるようなので儒教とは何か知りたくなった。関連本を読もうと思っていたところ、たまたま本屋でこの本を見つける。2017/10/21

かんがく

17
儒教の思想解説というより、儒教が中国でどのような位置付けにあったかという歴史を解説したもの。徳のある聖人が王になると説きながら、自身は王になれなかった孔子という存在により、始まりから矛盾を抱えた儒教。後の世の儒学者達が、先王、経、孔子、聖人の関係をどのように解釈し、歴代王朝と皇帝はそれにどう対応してきたかがまとめられている。ひねった視点でありながら儒教の歴史はしっかりと理解できるし、著者の口が悪くて面白かった。2020/04/29

エヌ氏の部屋でノックの音が・・・

14
2017年 8月 9日 初版。。。これは面白かった。こういう見方もあるのねと感じた。確かに後から良いように付け加えたような部分もあり、また、孔子がいかがわしい方法で官職を狙い子路に怒られたりと、下級士族だったと考えるとなるほどと思うところも多い。。。私しも自分を売り込みに諸国漫遊したとおもうが、著者は何年もその場に滞在してと痛烈である。井上靖先生は弟子を売り込みに行ったとしている。子路とかを考えるとそうともいえる。色々な見方の出来る『論語』なのだが、ルサンチマンとは始めてであった。2018/01/08

ゆうきなかもと

13
なかなか面白かった。ハッタリは重要ってことだよ。 しかし孔子がただのおっさんだったとして、なぜ何人かの弟子がいるのか?不思議に感じた。 それは、孔子がただのおっさんではなかったからなのか? いや、ただのおっさんでも、ハッタリかましていれば、何人も弟子が集められるということなのか? オレは後者だと思う。 2019/04/05

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