講談社学術文庫<br> 自然魔術

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講談社学術文庫
自然魔術

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  • サイズ 文庫判/ページ数 277p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062924313
  • NDC分類 112
  • Cコード C0110

出版社内容情報

地中海的な知の伝統の中に生まれたデッラ・ポルタ。実験・観察を重視する研究態度はのちに「白魔術」とも評された。その主著の抄訳。デッラ・ポルタは16世紀から17世紀、イタリア・ルネサンス後期に活躍した自然探求者・技術者である。自然魔術師とも呼ばれる。その著書『自然魔術』は、古代ローマの学者プリニウスの『博物誌』と並び称される、自然に関する知識と観察・実験の成果をまとあげた書物である。
内容は、当時の自然観が率直に語られる一方で、動植物の生成、磁石、医術、女性美、蒸留、芳香、火薬、料理、狩猟、光学(レンズ研究)などについて、見聞と著者自身による実験観察をもとに詳細に語られている。いわば自然に関する知識の万華鏡とも言える。
デッラ・ポルタの近代科学への貢献は大きいと言われるが、その反面、黒魔術と呼ばれる錬金術についても言及されており、その技術は改良されることによって明るい見通しがつくとしている。ただし、錬金術師たちが吹聴しているようには「金」も「賢者の石」も「不老不死の妙薬」も作り出すことは不可能と断言している。
本書は博物誌としての歴史的意義とルネサンスから近代への思想的転換期を現している書物の抄訳。

第一巻 素晴らしい事柄の原因について
第二巻 さまざまな動物の生成について
第三巻 新しい植物の産出について
第四巻 家財を増やすために
第五巻 金属を変えることについて
第六巻 偽金作りについて
第七巻 磁石の不思議について
第八巻 驚くべき治療について
第九巻 女性を美しくすることについて
第十巻 蒸留について
第十一巻 芳香について
第十二巻 火薬について
第十三巻 鋼鉄を強化することについて
第十四巻 料理術について
第十五巻 魚釣り、野鳥狩り、狩猟他について
第十六巻 不可視な筆記について
第十七巻 奇妙なレンズについて
第十八巻 静態的な実験について
第十九巻 空気作用による実験について
第二十巻 カオスについて


ジャンバッティスタ.デッラ・ポルタ[ジャンバッティスタ.デッラ ポルタ]
著・文・その他

澤井 繁男[サワイ シゲオ]
翻訳

内容説明

イタリア・ルネサンス後期の自然魔術師デッラ・ポルタの主著。動物・植物の生成変化、磁石の不思議、蒸溜の方法、芳香の作り方、レンズの実験など自然探究者・技術者としての知見が綴られる。錬金術が説く金や賢者の石の生成には懐疑的であり、「白魔術」に分類されるこの著作は、プリニウスの『博物誌』に並び称される。本書は全二十巻からの抄訳。

目次

素晴らしい事柄の原因について
さまざまな動物の生成について
新しい植物の産出について
家財を増やすために
金属を変えることについて
偽金作りについて
磁石の不思議について
驚くべき治療について
女性を美しくすることについて
蒸溜について
芳香について
火薬について
鋼鉄を強化することについて
料理術について
魚釣り、野鳥狩り、狩猟他について
不可視な筆記について
奇妙なレンズについて
静態的な実験について
空気作用による実験について
カオスについて

著者等紹介

デッラ・ポルタ,ジャンバッティスタ[デッラポルタ,ジャンバッティスタ] [della Porta,Giambattista]
1535年頃ナポリ生まれ。青年時代に研究のためヨーロッパ各地を旅行、1589年『自然魔術』全20巻を出版。一方で喜劇作家としても活躍。1615年没

澤井繁男[サワイシゲオ]
1954年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。イタリアルネサンス文学・文化専攻。東京外国語大学論文博士(学術、1999年)。現在、関西大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やんも

15
魔術といっても、魔法陣を描いたり、呪文を唱えたり、精霊や悪魔と交信する儀式を行なうようなものではない。自分も十分理解していないが、本書の原本が書かれた16世紀後半の科学知識では解明されていない、自然の力を神秘的なまま受け入れて、実践的に利用できる術が自然魔術、ということになるようだ。だからこの世界の成り立ちから始まって、生物、鉱物、天体、医術、美容、料理など多岐にわたる分野の知識が紹介されている。原本20巻の抄訳なので、説明不足の部分も多々あるが、当時の知識人の目から見た世界のありようの一端がわかる1冊。2017/06/21

春ドーナツ

9
16世紀末、ナポリにて出版。ポルタさんは白魔術師で自然魔術の研鑽を日々積んでおられた(ハリーポッターみたいに。というのは冗談で、日常生活向上のために)。彼の身辺では科学と哲学が密接に結びついていて、神羅万象に神が宿っている。まさに憧れの錬金術の世界です。「銀から金を抽出する方法」が具体的に、それこそハウツー本みたいな文章で書かれている。けれどもそこには神話的なバイアスがかかっていて、幻想物語を読んでいる感じがします。近代科学とは異なり、自然魔術は普遍的な法則や原理とは無縁だからかも知れません。でも魅力的。2017/09/12

ふるかねこがね

3
思想より科学に通じる部分がある。 植物に動物、鉱物。観察や資料に裏付けられた記述は、まるで理科の教科書のよう。 しかし、今では迷信とされる部分も多く、やはり昔の科学だなぁと。 これが書かれたのは16世紀なのだから、その意味では驚きだ。2017/08/21

○○○ ○○

3
磁石や光学についての近代的な知見と同時に、ダチュラ入りのワインでトリップする方法とか処女膜を復活させるとかのお得な情報が盛りだくさんで非常にためになる。「哲学者として振る舞うためにはまず裕福でなくてはならない」というパワーワードや最終巻が「何のジャンルだか分からないけど何かの実験」の寄せ集めなのもたまらない。「一定の法則が与えられるはずもない」自然に対する雑学的興味の中に「数学的知」への還元の第一歩が垣間見えたり、秘密主義と伝承することへの使命との葛藤があったり、訳者解説以上に近代科学に近いものを感じる2017/07/07

tban

1
白魔術士ならば ファンタジー世界で魔術を語るうえで これは持っていた方がよさそうです。 通読ははっきり言って相当に難しいですが どう自然を前に白魔術を考えていたかが よくわかります。事典として持つべき1冊。2017/05/16

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