出版社内容情報
上田秋成が遺した、江戸中期を代表する怪異小説集。現代語訳に語注、考釈も加えた決定版。慕っていた崇徳上皇の御陵に参った西行が見たものとは? ――「白峯」
病に倒れた旅の武士。逗留先の学者と兄弟のちぎりを交わすが――「菊花の約」
怠け者勝四郎、都に上ると里は戦禍に塗れる。そして愛する妻は――「浅茅が宿」
絵が得意な三井寺の僧・興義。求める者には自作画を欲しがるまま与えながら、鯉の絵だけは頑として手放さなかった――「夢応の鯉魚」
高野山へ物見遊山の親子。「仏法」と鳴く鳥に応え歌など詠むも、そこに武士たちが現れ――「仏法僧」
吉兆なら湯が沸き上がるという釜。若い夫婦が祈願したが、釜は虫の声ほどの音も立てなかった――「吉備津の釜」
雨宿り先で邂逅した美しい女を追いかけ、幸せに暮らすはずが――「蛇性の婬」
遊行僧を泊めた老人は、紺染の頭巾をかぶり、「鬼」になった僧の話を始め、あることを懇願した――「青頭巾」
武士・岡左内は、度を越した倹約ぶりで奇人とまで言われた。ある日、黄金の精霊と名乗る老人が枕もとに現れる――「貧福論」
まえがき「雨月物語の世界」
凡例
雨月物語序
巻之一
白峯/菊花の約
巻之二
浅茅が宿/夢応の鯉魚
巻之三
仏法僧/吉備津の釜
巻之四
蛇性の婬
巻之五
青頭巾/貧福論
解説「此岸と彼岸」
続『雨月物語』の世界
『雨月物語』の本質と史的位置
秋成小伝――生活と言葉――
上田 秋成[ウエダ アキナリ]
著・文・その他
青木 正次[アオキ マサツグ]
著・文・その他
内容説明
崇徳上皇の御陵に参った西行が見たものは?自由への願いを鯉の絵に託した三井寺の僧・興義は、自ら絵に同化し湖へ。高野山では怨霊になった豊臣秀次一行の宴会に巻き込まれ、雨宿り先で邂逅した美しい女は、蛇に姿を変え―。抑えがたい情念が、此岸と彼岸を越えて暴れ出す。奇才・上田秋成が安永五年(一七七六)に世に放った怪異譚、全九篇。
目次
雨月物語序
巻之1(白峯;菊花の約)
巻之2(浅茅が宿;夢応の鯉魚)
巻之3(仏法僧;吉備津の釜)
巻之4(蛇性の婬)
巻之5(青頭巾;貧福論)
著者等紹介
上田秋成[ウエダアキナリ]
1734年‐1809年。江戸中期の国学者、歌人、小説家。大坂・曾根崎生まれ。1776年(安永5)、剪枝崎人の名で『雨月物語』を刊行
青木正次[アオキマサツグ]
1935年横浜市生まれ。東京大学大学院修了。日本近世文学専攻。藤女子大学教授。2008年12月9日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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