出版社内容情報
仏教から倫理学へ!『古寺巡礼』などの名作で知られる和辻が、終生をかけて挑んだものとは?近代日本の代表的知性の思想形成に迫る!和辻哲郎は、明治22年(1889)に兵庫県で生まれ、30歳にして名著の誉れ高い『古寺巡礼』というベストセラーを刊行します。早熟で、高名な学者として大正から昭和30年まで活躍します。
ただし、その終生をかけた仕事とは、倫理学の構築でした。「人」ではなく、「人」と「人」の間、すなわち「人間=じんかん」の学として、倫理学を打ち立てようとしたのです。
『古寺巡礼』が、初期の作品であることからもわかるように、仏教を研究し、『正法眼蔵』を読み解き、そして倫理学へ。
近代日本の代表的な哲学者のひとり、和辻哲郎の思想は、どのように生成されていったのか。
道元、西田幾多郎、ハイデッガー、あるいは仏教、西洋哲学、さらには時代の思潮とさまざまに格闘しながら、近代の代表的哲学者が思想を形成していくさまを、緻密な筆致で描いた力作です。
1? あらかじめ喪われたこどもに
1.死んで生まれる
2.「もの」と「こと」
2? 表現としての人格
1.「人格」の変容
2.『福音書』と『正法眼蔵』
3.経験我と普遍我
3? 人格から間柄へ
1.西田幾多郎
2.ハイデッガー
3.「人格と人類性」
4.主体の再生
5.間柄
宮川 敬之[ミヤガワ ケイシ]
著・文・その他
内容説明
『古寺巡礼』の成功で確固たる地位を築いた和辻は、ハイデッガーや西田幾多郎など、同時代の哲学にも相対しつつ、独自の思考を展開する。仏教研究、日本思想史研究、倫理学と、多様かつ豊饒なその思想の本質とは、どのようなものなのか。「人格」と「間柄」、そして「もの」と「こと」を解明の鍵として、「和辻倫理学」形成の現場を跡づけた力作!
目次
1 あらかじめ喪われたこどもに(死んで生まれる;「もの」と「こと」;「表現」の変容 ほか)
2 表現としての人格(「人格」の変容;『福音書』と『正法眼蔵』;表現・真理・人格 ほか)
3 人格から間柄へ(西田幾多郎;ハイデッガー;「人格と人類性」 ほか)
著者等紹介
宮川敬之[ミヤガワケイシ]
1971年鳥取県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得。大本山永平寺に安居修行。現在、鳥取県天徳寺住職。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。