講談社学術文庫*再発見日本の哲学<br> 再発見 日本の哲学 大森荘蔵―哲学の見本

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講談社学術文庫*再発見日本の哲学
再発見 日本の哲学 大森荘蔵―哲学の見本

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  • サイズ 文庫判/ページ数 304p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062923095
  • NDC分類 121.6
  • Cコード C0110

出版社内容情報

私に他人の痛みがわかるだろうか。自己と他者、物と心、時間など哲学の根本問題を考え続けた大森荘蔵。その思索の魅力と道筋を描く。他人にも心があり、その心のありようは、おおむね私と同様である、と常識的には考える。しかし、その考えが正しいと保証してくれる証拠はどこにもない。「他我問題」という、哲学の大テーマである。私に他人の「痛み」がわかるか、他人の痛そうな外見と、私が知っているあの「痛み」の感覚が同じとは限らないではないか。――
大森荘蔵は、このような哲学の大テーマを、独自の思索をかさねて考え続けた。その道筋を、著者は初期の論文から晩年に至るまで、ていねいに追っていく。そこには、哲学することの本質が現れている、という確信がある。
著者は、「はじめに」でこう書く。
「私は、大森荘蔵という一人の哲学者が、その全身で自らの思索を刻んでいく姿を描き出したかった。大森ブランドの哲学製品をショーウインドウの並べ、解説したり値踏みしたりするのではなく、それを作り、壊し、未完成のまま低く呻き声をあげている、その生身の身体を、読者の前に差し出したい。乱暴に言い切ってしまえば、そうして、『哲学ってのはこうやるもんなんだ!』と見得をきりたいのである。」
近代日本の哲学者の思索の本質と魅力を描き出す「再発見 日本の哲学」シリーズ、学術文庫版の第一弾!

1.「超越」という問題
  物と知覚/電子の存在/他我問題/知覚像語の構成
2.無限集合を生成する言葉
  二元論批判/「超越」の正体/知覚因果説への応答
3.立ち現われ一元論への転回
  「心の作用」の否定/知覚と思い
4.立ち現われの風景
  想起と過去/四次元宇宙と有情の世界
5.言語的制作の可能性
  語り存在/過去の制作/経験の時間と制作された時間


野矢 茂樹[ノヤ シゲキ]
著・文・その他

内容説明

隣の部屋のテーブルは、誰も見ていなくてもある、つまり、知覚されていなくても物はある。私は他人の痛みを痛むことはできない、他人の心のありようは知りえない―物と知覚、他我問題など哲学の根本問題と切り結び、独自の思索を展開した大森荘蔵。「その全身で自らの思索を刻んでいく姿を描き出し」た、哲学の魅力あふれる一冊。

目次

1 「超越」という問題(物と知覚;電子の存在;他我問題;知覚像語の構成)
2 無限集合を生成する言葉(二元論批判;「超越」の正体;知覚因果説への応答;物と知覚の重ね描き)
3 立ち現われ一元論への転回(「心の作用」の否定;知覚と思い;世界そのものが立ち現われる;立ち現われの虚と実)
4 立ち現われの風景(想起と過去;四次元宇宙と有情の世界;重ね描き・無脳論・脳透視;他我の虚想とアニミズム)
5 言語的制作の可能性(語り存在;過去の制作;経験の時間と制作された時間;自我と他我)

著者等紹介

野矢茂樹[ノヤシゲキ]
1954年、東京に生まれる。東京大学大学院博士課程単位取得退学。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おじいやん featuring おじいちゃん( ̄+ー ̄)

38
哲学者にとって言葉は伴侶である。 何があろうとたとえ行く道が艱難辛苦の連続であろうとも自身が選んだ伴侶ならば己の身を賭してでも守らねばならぬ。 哲学をするという事はそうゆう事だ。 「君にその覚悟はあるのか?」 大森荘蔵は読者に問い続けている。2017/09/13

フリウリ

12
大森氏の書かれたものの内容は正直、十分理解できていないのですが、考えながら進む、わからなくなれば止まる、という不器用な?大森氏の姿勢に惹かれて、これまでその著書を読み触発されてきました。本書を読んで、今まで気にしていなかった(気づかなかった?)大森哲学の変遷がよくわかりました。著者もまた、考えながら進んでいくのがよかったです。例えば「習慣記憶」もそうですが、知覚や記憶や理解における身体的な要素があまり考慮されていないことは、個人的に気になりました。82024/02/23

無重力蜜柑

8
大森荘蔵は自分にとっては駒場の科哲の先人であり、野矢茂樹や野家啓一らを育てた分析哲学の泰斗。そんな大森哲学の野矢による註解。大森の考えを後世から振り返って整合的に記述するというよりは、前期・中期・後期に分けた思考の変遷を追いかけることで、一人の哲学者がどのような問題意識を持ちどのようにそれに取り組んだかを詳にしていく。といっても大森自身の伝記的記述は皆無でひたすら哲学に終始するストイックな構成。また、大森の思想を無批判に受け入れるのではなく、矛盾していたり野矢自身が賛同できない部分には異議を唱えたりする。2021/11/03

lamontagne

6
著者自身そう記すように、大森の哲学を外から眺めるのではなくて、その著作とともに考えてゆく、そして読者も野矢先生と考えてゆく、そういう本です。そしてその実践が結局のところ、先賢から学ぶということなのだと思わされます。2022/02/08

Z

4
良書。大森荘蔵の思考の軌跡をたどり、そこから正しいと思うもの、別の思考ができるのではないかということを、著者がたどるという教科書的な書き方。著者は論理学でお馴染みの人。認識論を深めていって、時間や他我問題について徹底的に思考していった様子を分かりやすく書いている。正直、関心のない分野だが、難しくはなくすらすら読めるので、面白かった。2015/12/17

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