出版社内容情報
イスラームに「原理主義」は存在しない! 20世紀後半の世界的な「イスラーム復興」が急進的な「イスラーム主義」を生み出すまで。アラブ・ムスリム世界を調査・研究のフィールドとしてきた社会人類学者が、イスラームの基本的概念と、20世紀終盤に世界的に見られた「イスラーム復興」の動きを解説する。
ユダヤ教、キリスト教と同じ「神」、同じ聖地をもつイスラームはどのように生まれ、発展したか。そして、近年の「イスラム原理主義」をどうとらえるか。著者によれば、いわゆる「イスラム原理主義」とは、キリスト教のファンダメンタリズムを安易にイスラームに当てはめた西側からの他称(レッテル)であり、イスラームへの誤解に基づいているという。そして、昨今の対外的戦闘行為を含む急進的な「イスラーム主義」運動は、けっして「近代化されていないから」「民主主義を知らないから」といった「近代欧米社会より遅れている」から発生した一部の特殊な勢力というわけではなく、1970年代以降に、近代化と近代教育を経験したムスリムたちによって担われてきた「イスラーム復興」の動きの中で生じてきたものだという。
本書は、2000年、すなわち「アメリカ同時多発テロ」や「イラク戦争」以前に執筆されたものだが、その後のイスラームをめぐる動向を的確に予見しており、この半世紀のイスラーム世界を深く理解するための必読書といえる。巻末には、京都大学大学院教授・小杉泰氏が解説を執筆。
〔2000年、日本放送出版協会刊の同名書籍の文庫化〕
第一部 イスラームとは何か――人類学的アプローチ
第一章 原風景
第二章 ユダヤ教・キリスト教・イスラーム
第三章 メッカ巡礼
第四章 ムスリムの聖者
第五章 部族・民族と宗教
第六章 ウンマとネイション
第二部 原理主義・ファンダメンタリズム・イスラーム主義――宗教復興の時代
第七章 イスラーム復興との出会い
第八章 イスラーム主義とイスラーム復興
第九章 オブジェクト化されたイスラーム
第十章 ワッハーブ主義的イスラーム
第一一章 宗教的ファンダメンタリズムの人類学
第一二章 言説としてのファンダメンタリズム/原理主義
第一三章 「文明の衝突」の時代?
付論 「イスラム原理主義」と呼ばれる現象
大塚 和夫[オオツカ カズオ]
著・文・その他
内容説明
ユダヤ教やキリスト教と同じ神と聖地をもつイスラームはいかに生まれたか。また、近年過激さを増すいわゆる「イスラム原理主義」とは何か。イスラームの基礎と思想的背景を解説し、サウディアラビアのワッハーブ主義や一九七〇年代以降の「イスラーム復興」の動きの中から二一世紀の動向を予見した、イスラームへの理解を深める必読書。
目次
第1部 イスラームとは何か―人類学的アプローチ(原風景;ユダヤ教・キリスト教・イスラーム;メッカ巡礼;ムスリムの聖者;部族・民族と宗教;ウンマとネイション)
第2部 原理主義・ファンダメンタリズム・イスラーム主義―宗教復興の時代(イスラーム復興との出会い;イスラーム主義とイスラーム復興;オブジェクト化されたイスラーム;ワッハーブ主義的イスラーム;宗教的ファンダメンタリズムの人類学;言説としてのファンダメンタリズム/原理主義;「文明の衝突」の時代?)
著者等紹介
大塚和夫[オオツカカズオ]
1949年北海道生まれ。東京都立大学人文学部卒。博士(社会人類学)。国立民族学博物館助教授、東京都立大学教授、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授等を務め、2009年没。主な著書に『異文化としてのイスラーム』(澁澤賞、アジア・太平洋賞特別賞)などのほか、共編『岩波イスラーム辞典』(毎日出版文化賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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