出版社内容情報
十九世紀最後の三〇年は二十世紀思想の源泉となった。中でもマッハとニーチェに注目することによって世紀転換期の特徴が見えてくる。マッハは、オーストリアの物理学者、科学史家、哲学者である。超音速の速度の単位もマッハにちなんでいる。二十世紀思想である現象学も、ゲシュタルト心理学も、アインシュタインの相対性理論も、ウィーン学団の論理実証主義も、ウィトゲンシュタインの後期思想も、ケルゼンの実証法学も、どれもこれもマッハの影響下に生まれた。ニーチェの最後期の思想「遠近法的展望」もマッハの「現象」の世界とほとんど重なり合う。物理学者と古典文献学者、まったく交流のなかった二人の思想家が、同時期に同じような世界像を描き、それが、十九世紀から二十世紀への思想の中心を流れる世界像を形作った。世紀転換期思想の中身を解読する。
・実証主義
・現象学的物理学の構想
・感性的要素一元論
・ゲシュタルト理論の成立
・マッハと現象学の系譜
・レーニンとロシア・マッハ主義者たち
・ウィトゲンシュタイン
・ニーチェ<力への意志>の哲学
・ホーフマンスタールとフッサール
・ムージルとマッハ/ニーチェ
木田 元[キダ ゲン]
著・文・その他
内容説明
二十世紀思想の源泉はどこにあるのか。十九世紀に眼を向け、物理学者マッハと古典文献学者ニーチェを二つの焦点とした時、その影響圏はこれまで見たことのない景色として立ち現れる。力学的自然観の否定、形而上学の批判という立場への共振として生まれた現象学、ゲシュタルト理論、相対性理論、論理実証主義など二十世紀思想への深い影響とは?
目次
序論―マッハとニーチェ
力学的自然観とは―ヘルムホルツの到達点
実証主義の風潮―もう一つの予備的考察
エルンスト・マッハの生涯―風車と流れるもの
現象学的物理学の構想―マッハの思想1
感性的要素一元論―マッハの思想2
ゲシュタルト理論の成立
マッハと現象学の系譜
アインシュタインとフリードリッヒ・アードラーの交友
レーニンとロシア・マッハ主義者たち
ウィトゲンシュタイン/ウィーン学団/ケルゼン
“力への意志”―ニーチェの哲学
ホーフマンスタールとフッサール
ムージルに現れるマッハ/ニーチェ体験
マッハに感応するヴァレリーとムージル
二十世紀思想の展開
著者等紹介
木田元[キダゲン]
1928年生まれ。哲学者。東北大学文学部哲学科卒業。中央大学名誉教授。2014年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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シッダ@涅槃
プラス3
Gokkey
itosan04
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