講談社学術文庫
生きがい喪失の悩み

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  • サイズ 文庫判/ページ数 256p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062922623
  • NDC分類 493.74
  • Cコード C0111

出版社内容情報

ナチスの強制収容所から生還し、ベストセラー『夜と霧』を著した精神科医が看破した、現代人の病理とは。再評価が進む著者の講演録。ナチスの強制収容所での体験を記した世界的ベストセラー『夜と霧』で知られる心理学者で精神科医が、みずから創始した心理療法「ロゴテラピー」について語った講義・講演録。
どの時代にもそれなりの神経症があり、またどの時代もそれなりの精神療法を必要としている――と語るフランクルが看破した20世紀後半の深刻な病は、我々が抱える「底知れない無意味感」によって引き起こされている。それは、フロイトのいう「性的欲求不満」とも、アドラーのいう「劣等感」とも違う「実存的真空」と呼ぶべきものだという。
「生きることの意味」の模索によって、それを克服しようとする「ロゴテラピー」とはいかなるものか。「逆説的志向」「反省除去」「意味への意志」「実存的欲求不満」など、主要な概念を解説しながら、実際の症例を交えて語る。
明治大学教授の諸富祥彦氏が巻末解説を執筆。

〔原本:1982年、エンデルレ書店刊。 原著:Das Leiden am sinnlosen Leben,1977〕

訳者はしがき
序論 生きがい喪失の悩み
精神療法を再び人間的なものとするために
  フロイトとアドラーとユング 
  ロゴテラピー 
  逆説的志向 
  反省除去 
  意味への意志 
  実存的欲求不満 
  苦悩の意味 
  医療上の司牧 
  ロゴテラピーと宗教 
  力動的心理学主義の批判に寄せて 
付録 精神医学者は現代の文学に対してどのように語っているか
学術文庫版への訳者あとがき
解説(諸富祥彦)
ロゴテラピーに関する著書精選


ヴィクトール.E・フランクル[ヴィクトール.E フランクル]
著・文・その他

中村 友太郎[ナカムラ トモタロウ]
翻訳

内容説明

世界的ベストセラー『夜と霧』の著者が問う現代人の病理。「底知れない無意味感」の正体とは?

目次

生きがい喪失の悩み
精神療法を再び人間的なものとするために(フロイトとアドラーとユング;ロゴテラピー;逆説的志向;反省除去;意味への意志;実存的欲求不満;苦悩の意味;医療上の司牧;ロゴテラピーと宗教;力動的心理学主義の批判に寄せて)
付録 精神医学者は現代の文学に対してどのように語っているか

著者等紹介

フランクル,ヴィクトール・E.[フランクル,ヴィクトールE.] [Frankl,Viktor Emil]
1905‐1997。オーストリアの精神科医。心理学者

中村友太郎[ナカムラトモタロウ]
1937年東京生まれ。東京大学教養学部卒。上智大学文学部教授を経て、同大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

22
1977年初出。大きめの活字で読みやすい。神経症と療法(14頁)。我らは知らず、また知らざるならん(46頁)。教育は個々の状況に内在する要請を聴きとるのに十分なほど、耳ざとくあるように良心を洗練すること(47頁)。ロゴテラピーは人間的次元に入り込み、特別に人間的な現象を手段のうちに迎え入れるべき権限を与えられている(80頁)。広場恐怖症(100頁)といえば、ランチルームでの給食は嫌で堪らなかった。全校でごった返して何が楽しく食べられるのか? 学校の先生の気が知れない。2014/12/16

テツ

17
生きることが困難な状況に置かれたのなら生き延びることに必死になるので誰も生きがいなど求めない。大戦中の強制収容所から生還したフランクルが語る生きることとそこに見出そうとする生きる理由について。生きがいがなくて虚しいって言い方は悪いけれど贅沢病でしかないし、その状態が辛いという現状は生物としては幸福なんだよな。でもその上でどうしたって存在理由を探し求めてしまうのが人間。40年以上前に書かれた本だけれど人が勝手に生み出して抱え込んでしまうモヤモヤって時代に関係ないんだな。2021/09/02

まさや

6
「夜と霧」の著者ですね。 アウシュヴィッツではストレスの原因による精神身体医学上の病気は見られなかったそうです。 人は底しれぬ無意味感と空虚感により神経を病んでしまうので、成し遂げる課題をもったほうが健全になるみたいですね。2021/05/02

Amano Ryota

5
フランクルの言葉は厳しい。それは、正論を振りかざしているとか、優しくないとか、攻撃的だとかそういうことでは全然無くて、こういう言い方が許されるなら、著者を通して普遍的な何かが語られているから、僕らはそれに対する態度を促される、それが僕には力強いと感じられる。本書の表題は、生きがい喪失の悩みとあり、その根本にあるのは、人生に意味が見いだせない実存的真空、何もなさにあるという。およそ30数年前に語られた言葉が、今また読まれていることの意味を考えると、何か当時の空気と似たようなものが繰り返されているのだろうか。2014/11/28

tekesuta

3
精神医学が文学についてあれこれ病的な言葉を持ち出して分析することにかなり批判している。たとえ実際作家が病んでいたとしても、「~だから」ではなく、「~にもかかわらず」その文学は書かれたということを言っていたな。フランクルの思想からもっとも遠いと思われる不条理文学ですら、その不条理を共有するということにおいて苦しみを克服するようにさせてやることができると力強く述べている。 2015/02/09

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