出版社内容情報
中村 桂子[ナカムラ ケイコ]
著・文・その他
内容説明
私たちはどこから来てどこへ行くのか―。この根源的な問いに対して、分析・還元・論理・客観を旗印とする科学、とりわけ生命科学は、有効に答えてきただろうか。博物学と進化論、DNA、ゲノムという考え方、クローン技術など、人類の「生命への関心」を歴史的に整理し、生きものすべての歴史物語を読み取る「生命誌」の取り組みと展望を語る。
目次
人間の中にあるヒト―生命誌の考え方
生命への関心の歴史―共通性と多様性
DNA(遺伝子)が中心に―共通性への強力な傾斜
ゲノムを単位とする―多様や個への展開
自己創出へ向かう歴史―真核細胞という都市
生・性・死
オサムシの来た道
ゲノムを読み解く―個体づくりに見る共通と多様
ヒトから人間へ―心を考える
生命誌を踏まえて未来を考える(クローンとゲノムを考える;ホルモンを考える)
生命を基本とする社会
著者等紹介
中村桂子[ナカムラケイコ]
1936年東京都生まれ。東京大学理学部卒。理学博士。国立予防衛生研究所、三菱化成生命科学研究所、早稲田大学人間科学部教授、東京大学客員教授などを経て、JT生命誌研究館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おせきはん
25
進化の歴史を通じて、生物がどのように生命をつないできたか解説されています。魚のエラが様々に進化して、やがてヒトの器官へとなっていく過程をはじめ、生物学の面白さ、奥深さを堪能しました。2022/03/12
yutaro sata
14
生き物はどう進んできたのだろうか。途方もない時間をかけて。2022/05/15
まーくん
13
生命とは?自分はなぜ自分なの?ってなこと、時折考えることがある。長年、生命科学を研究してきた著者は、科学による生命現象の解明が生き物や人間とは何かという問いに答えていないと感じ、基本を科学に置きながら生命の歴史を読み取る「生命誌」という考えに至った。生物学に馴染みの無い者としては、いまいち咀嚼しきれんところもあるのだが・・。自分のDNA、遺伝子、染色体、ゲノムなどという用語への知識が曖昧であったこと、生命はゲノム全体で理解するべきであることを知った。我々はどこから来てどこへ行くのか?我々は何者なのか?2018/01/20
紙狸
12
2000年刊行の単行本が14年に文庫化された。DNAとゲノムの違いを理解しようと読んだ。ゲノムとは「一つの細胞の核内にあるDNAのすべて」だとある。DNAは物質であり、遺伝子はその構成要素。ゲノムという切り口は、全体へのアプローチを意味するのだろう。地球上の生命誕生から38億年以上の歴史を読み取る。DNAの二重らせん構造の発見にいたる生物学の歴史が前半におかれている。ボーア、シュレディンガーという量子力学の大物が生命に関心を抱き、本まで書いていた。物理学と生物学は20世紀前半に接点があったのか。2021/06/16
123456789wanko
9
NHK人間大学のテキストを再編集。14年経ったいまでも十分通用する。「よく、遺伝子研究が進むと差別を助長するという声を聞きますが違います。」「ヒトならヒトという生き物として生まれてくること自体が大変なことなのであり、生まれてきた人すべてが一様にその存在を認められていることが分かります。」「実は、遺伝子から見た場合、すべての人に10個近い何らかの変異があることが分かっているので、答えは一つしかありません。障害をもつ人も暮らしやすい社会のシステムをつくり、私たちの意識からも差別をなくすようにすることです。」2014/07/15
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