講談社学術文庫<br> 落語の言語学

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講談社学術文庫
落語の言語学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 331p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062921985
  • NDC分類 779.13
  • Cコード C0176

出版社内容情報

なぜ最初に「えー、一席お笑いを申し上げます」と言うのか。談話行動としての落語の特徴とは。名人上手の実例からその構造を分析する扇子に手ぬぐいというわずかな小道具のほかは、ただ演者の「一枚の舌」によって、庶民はもちろん将軍や大名を高座に呼び出すこともできれば、遊郭や冥界に遊ぶこともできる不思議な話芸、落語。この落語の面白さを支えているものは何か、少年時代からの落語ファンでもある言語学者が、「ことば」の面から分析した、異色の落語論。
落語は、マエオキ、マクラ、本題、オチ、ムスビ、という構造からなる「言語空間」である。先人が築いたこうした「型」の上に、多くの演者が才能を開花させていった。彼らの「ことば」にはどんな特徴があって、一般の言語活動とはどう違うのだろうか。噺家はなぜ、「えー、一席お笑いを申し上げます」とマエオキをいうのだろうか。そもそもなぜ、落語にオチが必要なのだろうか。落語の「演題」はどのように決められているのだろうか。
志ん生や文楽、円生、小さん、談志などの実演の例を多彩に引用しながら、落語という特異な芸能の特徴・構造・魅力を解読する。

1994年と2002年に平凡社より刊行された同名書籍の文庫化。

第一章 落語の言語空間
話芸としての落語
落語のことば・落語家のことば
談話としての落語
落語の構造
第二章 マエオキはなぜあるのか
マエオキについてのまえおき
桂文楽のマエオキ
一九六〇年ごろの落語家たち
現代の落語家たち
落語速記以前の状況
三遊亭円朝のマエオキ
第三章 オチの構造
オチとはなにか
オチの成立
これまでのオチの分類
ワライにおける緊張と緩和
落語とクライマックス
オチからみた噺の構成
枝雀の四分類
ジグチの構造
談話行動からみたオチの類型
発話行動によるオチの分類
第四章 演題の成立
落語の演題の特徴
命名の視点
演題における造語・命名の特徴
上方落語の演題との比較
演題の意味するもの
わが青春の全落連と早稲田大学


野村 雅昭[ノムラ マサアキ]
著・文・その他

内容説明

えー、一席お笑いを申し上げます―。こんな「マエオキ」をなぜわざわざ言うのか。「マクラ」にはどんな形式と機能があるのか。「オチ」はなぜ、面白く感じられるのか。「ことば」だけで成り立つ特異な話芸の魅力を、言語学者が探究した異色の落語論。志ん生・文楽・円生から、小三治・小朝・志らくまで、豊富な実例でその「言語空間」の構造を分析する。

目次

第1章 落語の言語空間(話芸としての落語;落語のことば・落語家のことば ほか)
第2章 マエオキはなぜあるのか(マエオキについてのまえおき;桂文楽のマエオキ ほか)
第3章 オチの構造(オチとはなにか;オチの成立 ほか)
第4章 演題の成立(落語の演題の特徴;東京落語の演題 ほか)

著者等紹介

野村雅昭[ノムラマサアキ]
1939年東京生まれ。東京教育大学文学部卒業。都立高校教諭、国立国語研究所員、早稲田大学教授を経て、国立国語研究所名誉所員・早稲田大学名誉教授。専攻は日本語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

姉勤

25
”あばらかべっそん”やら”ちりとてちん”的なオノマトペも含んだ内容を求めたが、言語学という表題には拍子抜けの、それに言及した部分は数ページ程度だった、落語の構造解析本。 挨拶を含めた「マエオキ」、時々や本題の前振りの事象を絡めた「マクラ」、落語のネタたる「本題」、 本題を〆る「オチ」、退場前の「ムスビ」。その類型と分類は、先人の引用が多く目新しさはない。独自の視点は「マエオキ」の演者ごとの特徴と頻度の統計。終章の、現在敷衍している演目の確定前の、仮題やシナリオまんまの題名は、ヤボっぽさ満載で面白かった。2019/09/28

ROY

7
むずかしい。落ちを分析すると次の笑いに繋がるのであろうか?2013/11/26

Mits

2
思ったよりも、それほど面白い本ではなかったかも。 落語の「前置き」「オチ」「演題」についての考察を1章ずつしているわけだけど、「落語」という言語空間を俯瞰する第1章のようなお話がもっとあるとよかった。 「オチ」の話は別として、「前置き」や「演題」の細かい話にはあんまり興味わかなかったです。2013/12/05

じめる

2
言語学といっているが、そこまで本格的に学問の深淵に入っているわけではなくて、落語の諸要素を言語的な側面から分類したライトな類のもの。内容としては落語分析の嚆矢に見えるが、やはりこれだけだとまだ考察しきれていないところがある。オチの分類に関しては慎重だったのが好印象。2013/11/04

ともも

1
実際の落語の音源から、マエオキ、マクラ、本題、オチ、ムスビ、という構造モデルを示し、とくにマエオキとオチについて詳しく分類している。マエオキの分類なんておもしろいのかなと思いながらも、マエオキが繰り返し書いてあるだけで、十分おもしろいのね。「えー、おはこびで、ありがたく御礼をもうしあげます。」「えー、しばらくのあいだ、おつきあいをねがいます。」「えー、一席、おつきあいをねがっておきます。」「えー、おつきあいをねがっておきます。」「えー、あいもかわらない古いところで、しばらくのあいだ、ご辛抱をねがいます。」2019/06/20

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