講談社学術文庫<br> 地方の王国

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講談社学術文庫
地方の王国

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  • サイズ 文庫判/ページ数 299p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062921657
  • NDC分類 312.1
  • Cコード C0131

出版社内容情報

新潟、徳島、千葉、北海道。戦後政治の支柱だった各地の〈王国〉。その地殻変動に肉薄。選挙分析の先駆者による迫真ルポルタージュ!

新潟、徳島、千葉、滋賀、鹿児島、北海道……。日本中で戦後保守政治の支柱となった〈王国〉。それらに潜り込み選挙の構造を調査した地方政治研究の重要古典。高度成長の終焉がもたらした各地の構造的変容は、「豊かさはもはや手放すべきものなのか」という問いをめぐって揺れる現代日本を照らし出す。日本政治の底の底、そこに映る日本人像にまで肉薄した迫真のルポルタージュ。

講談社学術文庫版のための序文(五十嵐暁郎)
同時代ライブラリー版へのはしがき

【1】越山会の強気と弱気──新潟三区
一九八三年十月十二日、第一審判決の日/越山会
田中ファンの気質/社会党と越山会/越山会と一新会/西山町に共産党町議誕生/元全共闘闘士の田中擁護論/第三世界と新潟三区

【2】金権王国の深層海流──千葉
一票二千円の買収の構造/地域開発の病理学/どこから千葉の金権体質は生まれたか

【3】
最後の社会党王国──北海道五区
五区の有権者層/農民の政治意識/中川一郎の政治経歴/中川は〈殺された〉/北方領土観/北海道気質/横路知事の最大の問題

【4】保守王国の地割れ──鹿児島三区
日本の低開発地帯の典型/政治家・二階堂進の経歴/山中貞則と橋口隆/“社会保障のご用聞き”/種子島と屋久島/百年前の小学校教師の観察

【5】政争王国の十年戦争──徳島
“阿波戦争”のなかみ
徳島県における後藤田体制/「社会党は解散して再結集……」/新潟三区と徳島全県区/徳島県内の三木体制/もうひとつのキーワード

【6】“揺れる湖国”の大政翼賛体制──滋賀
無競争の協調政治体制/武村知事登場の引き金/武村知事の人となり/西武グループと武村知事/司馬遼太郎の武村観/「大政翼賛」のイメージ

【7】越山会・角さん音頭・の気勢──新潟三区再訪
田中角栄の演説/「問題は次の次……」/越山会大衆/気宇広大な・雪国市・構想/若者の野坂批判/さて、新潟三区は

あとがき
参考文献
解 説(五十嵐暁郎)

【著者紹介】
1933~2004年。東京生まれ。日比谷高等学校、東京大学法学部卒業。東京大学法学助手、イェール大学留学を経て、立教大学教授、駿河台大学教授を歴任した。日本における計量政治学の草分け的な存在として独自の選挙分析方法を確立した。
 学生時代から「思想の科学研究会」同人として『共同研究 転向』に参加し、佐野学・鍋山貞親を論じた「一国社会主義者」、大河内一男・風早八十二を論じた「生産力理論」で注目を浴びた。1960年代には鶴見俊輔らとともに「声なき声の会」を組織するなど継続して市民運動に参画し「市民のための政治学」を提唱した。
○著書:『政治の論理と市民』(筑摩書房1971)『政治の発見』(三一書房1983/岩波同時代ライブラリー1997)『新保守の時代はつづくのか』(三一書房1987)。『政治学のフィールド・ワーク』(三一書房1989)『日本政治の構造転換』(三一書房1994)『現代における政治と人間』(岩波書店2005)『平和研究講義』(岩波書店2005)『高畠通敏集』1~5巻(岩波書店2009)
○訳書:ロバート・A・ダール『ポリアーキー』(三一書房1981)。

内容説明

新潟、徳島、千葉、滋賀、鹿児島、北海道…。日本中で戦後保守政治の支柱となった“王国”。それらに潜り込み選挙の構造を調査した地方政治研究の重要古典。高度成長の終焉がもたらした各地の構造的変容は、もはや豊かさも手放すべきかと揺れる現代日本を照らし出す。日本政治の底の底、そこに映る日本人像にまで肉薄した迫真のルポルタージュ。

目次

越山会の強気と弱気―新潟三区
金権王国の深層海流―千葉
最後の社会党王国―北海道五区
保守王国の地割れ―鹿児島三区
政争王国の十年戦争―徳島
“揺れる湖国”の大政翼賛体制―滋賀
越山会“角さん音頭”の気勢―新潟三区再訪

著者等紹介

高畠通敏[タカバタケミチトシ]
1933~2004年。東京生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学法学部助手を経て、立教大学教授(同名誉教授)、駿河台大学教授。専攻は計量政治学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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gtn

18
田中角栄と選挙民の関係について、個々に直接陳情すれば、国会や政府という間接ルートを省略して物事がすべて決まる一種の革命的なディクタトゥーラ(独裁)と評する地元支持者。また、田中は 都市部よりも小集落に徹底的に入り、地元民の声を拾い上げたという。毀誉褒貶はあれ、田中のアプローチは絶対的に正しい。不特定多数に訴えるより、一人の人と絆を結ぶ方がどれほど強いか、田中の行動とその結果が如実に示す。2020/05/14

樋口佳之

13
彼らは、戦後の新憲法体制の下での民主化と平和、私的幸福と利益の追求を肯定し、戦前体制のイデオロギーをふりかざす旦那衆と対立した。/そのかぎりで彼らは当時の保守派の正統よりも、むしろ「逆コース」に反対し、近代化にともなう社会進歩を謳歌する敗戦直後の革新派に心情的に近かった/彼らを吸収し、新しい支持層の核へと仕立て上げる形で、中央の官僚層と直結し改憲を棚上げして経済成長と近代主義的な社会改革を推進する保守本流派の支配体制が、六〇年代を通じて確立していった/平成に入ってからはこの惰性と言う事なのだろうか?2018/04/12

かじやん0514

5
80年代に、市民派の政治学者である著者が、北海道・新潟・千葉・徳島・鹿児島といった自民党利益誘導政治の下にあった地域を取材して書いたルポ。新潟の田中角栄王国の盛んな頃と、いま新潟県で起きている変化を比較するといろいろと面白い。2017/11/20

げんき

2
本書の光景は基本的にはもはや昔話だろう。ただ、(田中角栄を始めとした)往年の自民党の実力者は戦後の初期に〈封建的〉イデオロギーの打破と改革を叫ぶ戦後派の青年として登場した、という指摘は興味深い。過去の名望家支配を保守青年による民主化・近代化の運動(著者に言わせると「庇護と追従の民主主義」)により代替する過程で小作農・労働者・農村青年といった従来の革新勢力の基盤が自民党の政治家の後援会へと吸収分解され、社会党が地方に基盤を殆ど官公労系以外に持たない政党へと脆弱化して行く過程がよくわかった。2023/03/23

siomin

1
田中角栄時代の新潟3区をはじめ,千葉,鹿児島など,国政選挙の結果からその地域を考察した一冊。政治や選挙関係の書籍に文献として出てくるので読んでみました。千葉だったらハマコーの金権選挙だったり中選挙区時代ゆえ保守政治家が競合するなど古さは否めませんが,その土地土地の課題を著者が解きほぐしています。ここで登場する政治家は保守系が多く都会の人間からすると眉を顰めたくなりますが,その一方で対抗馬にならないといけないのに,地域の実情に対応できずに支持を広げられていない,社会党の不甲斐なさも述べている気がします。2024/02/23

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