講談社学術文庫
無限―その哲学と数学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 616p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062921411
  • NDC分類 410.1
  • Cコード C0110

出版社内容情報

無限と人間の知性のせめぎ合いの歴史を、古代ギリシアや、カントから、ゲーデルなど現代にいたるまで、 見事に通観した名著。有限な人間の抱える問題とは、それ自身、無限との格闘なのだ!!
アキレスと亀のパラドクスから、カント、ヘーゲル、ヴィトゲンシュタインへ。
カントール、レーヴェンハイム-スコーレムの定理、そしてゲーデルの定理……
古代ギリシアから現代まで、「無限の思想史」を通観する稀代の名編!

アリストテレスは、無限は可能的には存在するが、現実的には存在しないと述べた。数学的な無限は認めても形而上学的な無限は認めなかったのだ。カント、ヘーゲルらの哲学的思考、カントールの集合論の衝撃、ゲーデルの定理などを経てヴィトゲンシュタインへ。古代から現代までを通覧し、「無限」と「死」と格闘した人類の思索を跡づける魅惑の名作。

本書は、無限についての本である。しかしまた、有限についての、我々の有限性についての本でもある。無限についての我々の感覚の背後には、我々自身の有限性についての感覚が位置している。我々は、自分が有限であることを知っている。それは、我々の存在が矮小で短命であるといった問題ではない。それよりももっと根本的なことがらが、ここにはある。すなわち、我々が自分で作り出したのではない世界に投げ出されているという事実、我々が自分ではない他のものと向き合っていることに気づかされるという事実が横たわっているのである。――<本書「序文」より>

※本書の原本は、1996年、東京電機大学出版局より刊行されました。

A.W・ムーア[A.W ムーア]
著・文・その他

石村 多門[イシムラ タモン]
翻訳

内容説明

アリストテレスは、無限は可能的には存在するが、現実的には存在しないと述べた。数学的な無限は認めても形而上学的な無限は認めなかったのだ。カント、ヘーゲルらの哲学的思考、カントールの集合論の衝撃、ゲーデルの定理などを経てヴィトゲンシュタインへ。古代から現代までを通覧し、「無限」と「死」と格闘した人類の思索を跡づける魅惑の名作。

目次

無限のパラドクス
第1部 歴史(古代ギリシアの思想;アリストテレス;中世とルネサンス;微積分学;合理論者と経験論者;カント;カント以後の無限の形而上学;無限の数学 カントールの衝撃;カントールの衝撃に対する反応)
第2部 無限を査定する(超限数学;レーヴェンハイム‐スコーレムの定理;ゲーデルの定理;語ることと示されること;無限を査定する、歴史を見直す;人間の有限性)

著者等紹介

ムーア,A.W.[ムーア,A.W.][Moore,A.W.]
オックスフォード大学哲学科教授

石村多門[イシムラタモン]
東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。現在、東京電機大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ゲンショウ

40
図書館本、拝読。無限‥道に通ずる思想。神学、哲学、数学、物理学。人間の知に、常に矛盾を投げ掛けるもの。そして、それに関わる人の感情を常に揺さぶるもの。知を指向する人々の 仮面を剥がし、また新たな道を示す。私たちが知らない事は、正に無限に有る‥‥何か、素直に生き様と思った。理由は、わからないが、そう思った。それが、気持ちよかったりする‥‥感謝。2014/06/22

tk

5
野矢茂樹せんせいオススメってだけあって、哲学の本としてはとても良いと思う。 けど、数学的にみると決定的に間違ってる箇所があって、例えば、340頁の「空集合の唯一の要素は、その空集合そのものである。」とあるのは間違い。つまり、ZFからの帰結としてφ∈φはあり得ない。書評→http://goo.gl/1mCBkf2013/07/20

home alone

5
数学的無限、形而上学的無限をめぐる数学、哲学の無限の話し。激しく面白い。ただ、哲学、数学の基礎知識がある程度ないと何言ってるか分からないかも。分かる人は分かるかも。いや、やっぱ厳密に細かく書かれてる訳じゃないから全く知らないとこは分からないと思います。すっごい沢山の哲学者と数学者、その説が出てくるから1つ1つの話しは必要最小限になってしまっている。だが、その分無限に関してはかなりいい本。2012/11/21

roughfractus02

2
無限はなぜ創出されるのか?という原理的な問いなしに本書は読めない。確かにアリストテレスが無限を可能的/形而上学的に分割して以来、その継承と克服の歴史をたどることは難しくない。だがそこには、なぜ人間は生きている今ここで死を知り得、有限性という前提から出発できるのか?という問いが、その歴史を突き破るようにあちこちに噴出しているのだ。ウィトゲンシュタインの語る/示すの区別を援用し、無限を対象化して語るとさらに対象を含む全体を示すように無限が創出される様を著者が示す時、読者は上記の問いの非歴史性に向き合っている。2017/02/15

ppp

2
経験論者と無限に関する点以外は勉強になった。アナクシマンドロスから現代哲学、現代数学に至るまでの、無限についての思想の動きが捉えられている。カントの統制的(後退的)概念としての無限の考え方は特に面白かった。ロック〜ヒュームのラインについては、もう少し著作を読んでもらいたかった。逆に、経験論者の方法論的ないし非包括的立場が浮き彫りになるというなら示唆に富むけれど、(バークリを含め)三者が(形而上学的でも数学的でも)無限を否定するということについては、慎重なテキスト解釈が必要。2013/06/19

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