講談社学術文庫<br> 試験と競争の学校史

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講談社学術文庫
試験と競争の学校史

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  • サイズ 文庫判/ページ数 285p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062920438
  • NDC分類 372.1
  • Cコード C0137

出版社内容情報

試験地獄と過酷な競争はいかに制度化したか画一的な「試験と競争」を実施するために、近代の学制は整備された。衆目監視の昇級試験、監督官の過重労働、落第の恐怖など、明治日本の学校と試験の実態を描く

内容説明

私たちの国の学校は、なぜこれほど過剰に「試験」にとらわれてきたのか。著者は、画一的な「試験の実施」こそが、近代の日本に「学校」を普及させる動因だったという。夜を徹して行われる進級試験、衆人環視・戦慄畏縮の口頭試問、時に三割を超えた落第の恐怖。国民皆学実現の裏で、今に至る教育論争にも長い影を落とす「淘汰と競争」の起源を探る。

目次

序章 競争と試験の状況から
第1章 試験の風景
第2章 試験制度の成立
第3章 試験制度の実際
第4章 試験による淘汰と教育のひずみ
第5章 仕掛けとしての試験―試験による競争の組織化
第6章 中学校における競争と淘汰
第7章 進学競争の世界
終章 「試験の時代」と競争

著者等紹介

斉藤利彦[サイトウトシヒコ]
1953年福島県生まれ。東京大学法学部卒。同大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。現在、学習院大学教職課程教授。東京大学大学院教育学研究科客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ゲオルギオ・ハーン

16
主に明治時代の小学校、中学校の教育について『試験』をキーワードに書かれた一冊。近代化を進めるとはいえ、国家として成績第一での教育を進めた結果、過度な競争教育が行われていたことが分かり、とても衝撃的だった。生徒の人格などは評価の対象にならず、とにかく定期的に行われる試験と卒業試験だけで評価し、進級や飛び級、落第の判定を出していた。教育内容も理解がうまくいかない生徒へのフォローはなかった。そのため、小学校ですらスムーズに進級し、卒業となる生徒は三割(そもそも学校に行っていない生徒は除く)程度だったという。2020/08/20

シルク

12
非常に好きな本。なんつーか、「史料を読む」→「読み取る」→「出典を明らかにして資料を示し、こうこう、こういうことが確かに読み取れるだろう、と、読者に示す」ということを、ちゃんとやっている本で。そういう手続きが地道に、確実にとられている研究は……非常に……読んでいていい感じになってくる。自分もこのようにありたい。さてところでこちらの本は、明治期の学校、特にその試験の場、試験というものの在り様に焦点を当てる。明治期の小学生は、非常に――現在から見るとあまりに過酷過ぎる程に――厳しい試験に日々晒されていた。2018/06/30

ゆえじん

5
この研究で明らかにされるのは『明治期における試験と競争の学校史』に違いない.にもかかわらず本書は、現在の教育問題の急所を易々と射程に収めてしまう、というより「試験と競争」についての明治以来の問題は、現在において全く解決されていない.更新されてすらいないということを、敢えて明治期の詳細なデータを淡々と整理していくことで明らかにしていく.そのいやらしい手つきに痺れてしまった.あんまり読まれてないのかもしれないが、案外リーダビリティ高くてオススメ.教育関係者なら絶対読むべき.すくなくとも本棚には飾るべき.2018/12/05

メロン泥棒

3
明治を中心とした小学校・中学校での試験戦争。時代が明治に移り身分を問わない平等な学校教育を始めたが、試験の点数という新たなヒエラルキーを作り出した。学校間での成績競争が補助金の額に繋がり、教師の給料に繋がり、生徒間での上下関係に繋がる。これを酷いと思うか、何か新しいことを始めようとする試行錯誤の一貫ととらえるかで見方が変わってきそうだ。2011/03/17

真黒コスモス

2
明治時代の小学校を中心に行われた過酷な競争教育の歴史を説いた本。小学校から夜明けまでテストとか進級試験に落ちて自殺事案とかヤバすぎるよ…2015/05/13

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