講談社学術文庫
博覧会の政治学―まなざしの近代

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  • サイズ 文庫判/ページ数 314p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062919937
  • NDC分類 606.9
  • Cコード C0136

内容説明

18世紀末にフランスに誕生した資本主義の祭典=展示会は、19~20世紀、各国の万国博覧会へと発展する。国家は「帝国」と「商品」をディスプレイし、博物学的まなざしは、日常生活領域へと浸透すると同時に、大衆の欲望=娯楽・見世物性を満足させる。博覧会という場が孕む微視的な権力の作用を明らかにし、スペクタクルの社会理論を提示する。

目次

序章 博覧会という近代
第1章 水晶宮の誕生
第2章 博覧会都市の形成
第3章 文明開化と博覧会
第4章 演出される消費文化
第5章 帝国主義の祭典
第6章 変容する博覧会空間
終章 博覧会と文化の政治学

著者等紹介

吉見俊哉[ヨシミシュンヤ]
1957年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。専門は、都市論、文化社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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dilettante_k

2
10年版。92年中公新書版に文庫版後書きを付す。万国博覧会の歴史を▽帝国主義のプロパガンダ装置▽消費文化の広告装置▽大衆娯楽的な見世物―の3つの視点から辿り、そこに参与した国家、企業、大衆が生み出した政治的磁場の所在を明らかにする。19世紀の英仏での特徴的な博覧会に加え、万国博を取り込み、内国勧業博を展開した日本での変容。合わせて、帝国主義の象徴としての「人間の展示」、さらには戦後に顕著な「未来都市」の展示など、万博に結晶した近代的眼差しの様態を探る。百貨店など派生物の話題も豊富な万博=権力装置の解剖図。2015/03/29

残留農薬

2
新大陸の「発見」より始まる、主客を区別し序列化し、系統立てる眼差しが、帝国主義や消費社会と相互に影響を与えながら生み出した博覧会というテクスト。最後はその正統な後継者として、ディズニーランドを挙例する。なるほど、各アトラクションに協賛企業の名前が掲げられているのはあれが企業パビリオンだからか。昔、TDLのスターツアーズの隣に松下電器のミート・ザ・ワールドがあったが、あれはまさしくエプコットの日本館であったのだ。消費と娯楽を通して、近代的な眼差しの作法が幼少の自分にも浸透して行っていたことに気付く。面白かっ2015/03/07

Akira Nogami

2
文化社会学の第1人者、吉見俊哉の渾身の1冊。フーコーの「まなざし」の概念を用いた日本の近現代の文化・都市空間の解説です。時代とともに求められるものはかわっても、そこに働く「まざさし」は変わらず、わたしたちは知らず知らずに「まなざし」を身体化します。そう、今日の消費・都市空間はまさに「まなざし」のポリティクスが働いているのです。そんなことを築かせてくれる本です。是非一読を。

くまパワー

1
パリ植民地博覧会について芋づる式読んだ本。博覧会は大航海時代から博物学の時代への発展、動植物園や標本陳列間の体系化と公開化といった流れを受けながら、西欧諸国が博物学的なまなざしの場を新しい資本主義のイデオロギー装置として登場した。そのまなざしのクロスする場として博覧会は近代の人間たちが差別化のまなざしを学んでいった特権的な場であり、フーコーの言う権力が博覧会に内存している。特に文明開化と帝国主義の祭典の両章は帝国主義的なまなざしを分析し、植民地研究として極めて役立つと思う。2022/11/21

ゆめかまこと

0
こうやって読み終わってみると、これからもくろんでいる東京オリンピックや大阪大阪万博が持つ日本の将来に持つ意味合いには大いなる疑問を持たざるを得ない。 それだったら、TDRやUSJを中心とした将来像を、現実に足を付けて議論していった方がよっぽど意味深いんじゃないか、とおもったのはわたしひとりなのかなぁ2017/09/28

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